須賀敦子全集 第8巻 書簡 年譜 ノート・未定稿 初期エッセイほか

須賀敦子全集〈第8巻〉 (河出文庫)

須賀敦子全集〈第8巻〉 (河出文庫)

内容紹介
留学生活や新婚生活を生き生きと伝える両親宛書簡やペッピーノとの愛の書簡、若き日々の瑞々しいエッセイ、遺された小説草稿、詳細な年譜など、その希有な人生の軌跡を辿った貴重な資料満載。


1ヶ月から2ヶ月に1冊ずつ位のペースで読み進めてきた須賀敦子全集もこれで最終巻。
書簡のところどころにエッセイとして読んでいた出来事を見出すと妙に嬉しくなってしまう。1959年の父・母宛の書簡が、旧かなで書かれているので、意外と旧かなって最近まで(といっても50年以上も前の話だけど)使われていたんだなと実感する。新婚旅行でペッピーノが日本へ来た話読んでみたかった。1962年の書簡ではイタリアでの日本文学についてふれられていることが多いので、読んでいて特に面白かった。
ノート・未定稿の「アルザスの曲がりくねった道」は、こうして序章と構想を読んでしまうと、須賀さんの小説読んでみたかったなと強く思う。
年譜では、エッセイで読んだ出来事がどのくらいの時期だったのか知ることができて面白い。須賀さんは日本に帰ってから、なんとなく日本語からイタリア語への翻訳を辞めたのだとばかり思っていたけど、1982年に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』、1985年に川端康成の『美しさと哀しみと』を翻訳しているので、そうではないことを年譜ではじめて知った。