魔法昔話の研究 口承文芸学とは何か

魔法昔話の研究 口承文芸学とは何か (講談社学術文庫)

魔法昔話の研究 口承文芸学とは何か (講談社学術文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
昔話の形態学』で世界に衝撃を与えたプロップ。その構造的研究、歴史的研究とはいかなるものか。レヴィ=ストロースへの反論のかたちで方法論を明快に示し、処女懐胎などの異常出生譚、「笑わない王女」の昔話、「オイディプス」の類話を題材に、民間伝承の構造と歴史的現実との関係を鮮やかに分析する。口承文芸の豊かな世界に誘う最適の入門書。

最初に読みはじめたのは半年ぐらい前だが、最初の『I魔法昔話の構造的研究と歴史的研究―レヴィ=ストロース教授の批判に答える』で読むのがしんどいから途中で読むのやめてしまっていたけど、反論だから難しいのだとその部分をほとんど流しながら読み終えたら、その後の『異上誕生のモチーフ』、『口承文学における儀礼的な笑い』、『口承文学の世界におけるオイディプス』は興味深くて面白かった。そのあとの口承文学というジャンルについての言及は、口承文学に詳しくないのであまり面白く読めなかったけど。
笑いが生の象徴で、笑うことによって子供(生命)が生まれるというのは、面白い。

sardiまたはsardoniと呼ばれていたサルデーニャの太古の住民達には老人殺しの風習があった。老人を殺害するとき、大声を立てて笑った。(中略)われわれは死から生への移行に笑いが付随することを見てきた。笑いが生命を創造し、誕生に付随し、誕生を創造することを見てきた。そうであれば、殺害のときの笑いは死を新たな誕生に変え、殺害を無効にするものである。この笑いは死を新たな誕生に変える敬虔な行為なのだ。(142P)

笑いながら戦う、殺すというようなキャラクターはこういうのが起源のひとつにあるのかな。
オイディプス、有名な話だけど読んだことない、というかギリシア悲劇を読んだことないからいつか読まなくては。