砂漠

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく―。

「僕はさ、上空でみんなを見下ろしているタイプなんだ。入学したときに鳥居に言われた。だけど、今は少し、目線が地面に寄ってきた」
「鳥から人間になりつつあるわけだ」
「単に、地上にいる西嶋に、大きな竹竿か何かで引き摺り下ろされているような気もするけど。というより最初から、空なんて飛んでなかったんだ。鳥瞰型の人間っていうのは、自分だけは特別で、上からみんなを観察しているって信じているだけでさ」(313P)

鳥瞰する視点は大事だけど、その視点の位置を想像上のもの・架空の物であると理解するのではなく、実際に自分がその視点の位置にいると錯覚するのは危険だよね。
伊坂さんの小説は最近(文庫化しているもの)は政治的な要素が気になるのと、普通に面白さという点でも落ちているという感覚は否めなかったけど、この小説では個人的には久々に伊坂さんの小説を面白いと思いながら500P超を一日で一気に読むことができた。他のものに気をそらされることなく、一気読みで1冊の本を読みきることができたのはいつぐらいぶりだろうか。