食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで

食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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歴史における食物の位置を把握するには、どのような方法がもっとも適切なのか? フェリペ・フェルナンデス=アルメストの『Near a Thousand Tables』(邦題『食べる人類誌』)はその始まりを、文化を創り出す社会的行動に、そしておそらくその原因である「調理」においた。調理という行動の起源、牧畜、農業から食品の産業化、ついには現代のグローバリゼーションまでを一連の「革命」として追求している。
豊富な知識を盛り込みつつも軽快な筆致と警句的表現に満ちた本書は、儀式と魔法(「信じるものを結びつけ、信じない者に感銘を与える」)としての食物を探求し、動物の家畜化(かたつむりは世界最古の「家畜」だった)、社会的地位の指標としての農業と食物の利用(「偉大さは胴回りの偉大さに比例する」)、交易と文化交流における食物の役割(植民地における異文化混合の1つの形としてのテックス・メックス――テキサス流メキシコ風味――料理)、そして産業化を推進する力としての食物(調理法の産業革命である缶詰製造)などを探る。

これらの探求を読み進み、最終的に読者が導かれるのは「ファストフードを食べる人々の孤独」と、文化を「創りあげた」共同体の行為からわれわれを疎外する電子レンジ料理の「非社会化的」効果だ。「食物は喜びを与えてくれる、そして良くも悪くも、食べる人を変えることができる」と、フェルナンデス=アルメストは述べる。そして「次の革命の役割は、食物の悪い影響を打破することだ」と結論づけている。

本書は、われわれ自身の姿を浮き彫りにしてくれる興味深い1冊だ。敵の人肉を食べることによってその力を身につけようとする食人種族のように、われわれは食物には人間を変える力があると信じている。だからこそ菜食主義やその他特別な食事法などを徹底的に実践すれば、自分たちは「より良く」なると考えるのだ。本書はこうした人間の姿を包括的かつ正確に描き出している。(Arthur Boehm, Amazon.com

Book Description
ヒトをサルから離陸させた火の使用、カニバリズムと菜食主義の意外な共通点、海を越えた食材の交換が促したグローバル化――。食べ物こそが、われわれの歴史をつくってきたのだ! 世界的な歴史学者が「8つの食の革命」を切り口に人類史を読み直す。古代ローマの祝宴を彩った酒肴から現代の食卓にのぼる遺伝子組み換えトマトまで、古今東西の珍味と興味尽きない逸話がたっぷりのフルコースをご堪能あれ。解説/小泉武夫


ログ・ホライズン』を読んでから食べ物の歴史について少し興味を持ったので購入。そうして興味があって買ったのに、歴史系の本は読み進めるのに時間がかかるから、少しずつ読み進めていたので読み終えるまでに一ヶ月もかかってしまった。食べ物、調理の進化、革命についての歴史。この本の中では『第三章 食べるための飼育――牧畜革命:食べ物の「収集」から「生産」へ』が特に面白かった。