遠まわりする雛

遠まわりする雛 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する―。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。

古典部>シリーズ第4弾。短編集。再読。既に1回は読んでいるのに読み終えるまで3日もかかってしまった。
『やるべきことなら手短に』少しの労力を節約するためにやけに頭を使っていて、結果としては余計に労力を使っているとしか思えないなあ。
『正体見たり』これはほかの作品と比べると以前に書かれたということもあり、ちょっと他の作品とは雰囲気が違う感じ。
『あきましておめでとう』あとがきにジャック・フットレル『十三号独房の問題』への入り口になってくれれば。と書いてあるのでそちらも読んでみたくなった。
『手作りチョコレート事件』奉太郎たちが中3の時に2000年って年が明言されていたけど、2000年と聞くと、もう10年も前だからむかしに感じるなあ。『ふたりの距離の概算』の時点で伊原と里志の関係に決着がついているので、それを知ったあとに再読したから少し読んだときに感じる苦さも多少薄れたかな。
『あとがき』個人的にはまだ『物語においても、一度固定された時間が動き出し、構築された関係性が変化することは苦手(409P)』で時間と和解できていないので、関係性が動き始めることは嬉しいというよりも寂しいような、残念なような気持ちが先に来てしまうなあ。