有頂天家族
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/08/05
- メディア: 文庫
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「なにをそんなに切ながっているんです?」
「私に食べられるあなたが可哀想なの」
「喰わなければ良いのではないですか?」
「でも、いつかきっと、私はあなたを食べてしまうわ」
「食べてしまうわとあっさり言われても困ります」(P181)
面白いんだけど、金曜倶楽部の面々とか夷川家の人らとか個々で見れば、悪人は少ないのだろうけど、どうにも好感を持てない。『その鍋の具は父であった。』(P100)とあるけどあっさりとしすぎて、ちょっと呆然とするよ。それと、些細なことだけど、たしか狸鍋って本当は狸じゃないんじゃなかったけ?
最後の方は既に父が亡くなっているということもあり本当にこれ以上死なないでくれと悲惨な結末にはならないだろうとは思っていてもどうにも緊張しながら読み進めていってしまった。本当はもっと気楽に楽しみながら読んだほうがいいのだろうけど。そんな風に読んだからか、本当はもっと楽しめたはずなのに十全に楽しめなかったというような感覚。赤玉先生と矢三郎の掛け合いとかはすごい好き。