ヨーロッパ史における戦争

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
中世から第二次世界大戦に至るまでのヨーロッパで起こった戦争を、テクニックだけではなく、社会・経済・技術等の発展との相関関係においても概観した名著。二〇〇九年に改訂された新版の本邦初訳。


ページ数のわりには読み終えるまでに大分時間がかかってしまった。買っておいてなんだけど、それほど興味あるジャンルの本じゃないからな。
イスラム教徒自身、剣の届くところではどこでも異教徒とみれば改宗させるか根絶してしまわねばならぬと心に決めている熱狂家だったからである。』(P21-22)『また一たび探検者が交易地を作ると、たとえ領土を取る意図のないところでさえも、ヨーロッパの競争相手に対してばかりでなく現地の顧客の予測しがたい心変わりに対しても、要塞を作って自衛しなければならなかったが、これもまたやむをえないことであった。』(P78)こういう、偏見っぽいことをさらっと書いてあるからどうも信用して読むことができなかったのも読むのが遅くなった一因。
『この情熱は、軍隊だけでなくて、軍隊を生んだ社会を通じても広がったが、それは大衆新聞に反映され、それによって掻き立てられた。このことをただ支配的エリートによる宣伝と操縦のせいに帰するのは、やはり粗雑で機械論的で歪曲された説明であろう。イギリスとフランスでは、戦争初期に権力を握っていたアスキスやヴィヴィアーニのような伝統的政治家は、現在ならば急進的右翼とでも呼ぶような風潮に一層たやすく対応できたロイド・ジョージやクレマンソーのような民衆的な人物によって、押しのけられてしまった。一九一七年最高統帥部によって文民宰相ベトマン=ホルヴェーク(Bethmann-Hollweg)の失脚が仕込まれたドイツにおいてさえ、次のヒンデンブルグ(Hindenburg)とルーデンドルフ(Ludendorff)の軍事独裁は、祖国戦線という強力な組織によって支持された。この組織は、社会の全階層を代表するが、その支持の大部分は下層中流階級から得ていたのである。』(P182-183)日本でも第二次世界大戦時に似たようなことが。