偉大な記憶力の物語

偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)

偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
人並みはずれた鮮明な直観像と、特有の共感覚をもつその男は、忘却を知らなかった。電話番号を舌で感じ、コトバの音から対象の意味を理解する。想像によって手の温度を変える。直観像を利用して課題を鮮やかに解決する一方で、抽象的な文や詩の理解はひどく困難。特異に発達した記憶力は、男の内面世界や他者との関わりに何をもたらしたのか。

200ページくらいの短い本。眠くて朦朧とした状況で読んだせいか、どうも印象が薄いなあ。
『シィーの記憶容量は一切的に無限であること、記憶する際に「暗記」することは必要なく、ただ、像を「刻印」すればよいこと、非常に長い時間が経ったあとでも、これらの像を呼び出すことができること(その例として、後に、提示した系列を一〇年後、さらに十六年後に正確に再生した例をあげよう)』(P40)忘却することがないのはすごいなあ。
共感覚、名称や『「不愉快」に「刺すように」発音される』ことによって、料理の味が変わってしまうというのはなんか不思議。今まで共感覚、ただ文字や数字に色がついて見えるとかそんな感じのものだと思っていたけど、他にもいろんなことがあるんだね。『鮮明な像が現実と葛藤関係に入り、必要な、十分用意した行為の実行を妨害しはじめる』(P191)共感覚とかこれとか大変そうだな。