放課後探偵団(書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー)


内容紹介
午前零時のサンドリヨン』の相沢沙呼、『叫びと祈り』の梓崎優、来年の本格的長編デビューを控える鵜林伸也ら、1980年代生まれ、創元発の新鋭五人が書き下ろす学園推理。
似鳥 鶏「お届け先には不思議を添えて」……映像研究会が発送した箱の中身が、先方に到着した段階ですり替わっていた。しかし、すり替える機会があったとは思えない。犯人はいつ、どうやって中身を入れ替えることができたのか? またしても不可解な謎に巻き込まれた葉山君は、名探偵の先輩・伊神さんに助けを求めた――『理由あって冬に出る』から始まった好評シリーズ、待望の最新作。
鵜林 伸也「ボールがない」……絶対に百球あるはずのボールが、なぜかいくら捜しても九十九球しか見つからない。あと一球見つからなければ、家に帰れないのだ! かくして高校球児たちは、求めるボールの行方をなんと推理で突きとめようとするが……。2011年に長編デビューを果たす予定の新鋭が贈る、デビュー先行短編。
相沢 沙呼「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」……バレンタインの日、教室に戻った生徒たちが見たのは、教卓に積み上げられたチョコレートの山。みんなの荷物の中からチョコレートを抜き出して積み上げた犯人は誰か? そしてその目的は? 鮎川哲也賞受賞作『午前零時のサンドリヨン』の登場人物たちにふたたび会える、恋と謎のキュートな本格ミステリ
市井 豊「横槍ワイン」……映画制作同好会の新作鑑賞会の最中、メンバーのひとりがワインを浴びるという珍事が発生し、〈聴き屋〉の柏木君は図らずも謎解きに駆り出されることに。ありとあらゆる可能性が提示されては否定された挙句、最後に残った予想外の真実とは? 大学生の右往左往をコミカルに描く〈聴き屋〉シリーズ最新作。
梓崎 優「スプリング・ハズ・カム」……掘り出されたタイムカプセルに入っていたのは、十五年前の卒業式で勃発した放送室ジャック事件の犯行声明。密室状況下から忽然と姿を消した犯人は、いったい誰だったのか――同窓会に集まったかつての放送部員たちは、嬉々として謎解きを繰り広げる。『叫びと祈り』の俊英が描く、せつない余韻が胸を打つ物語。

学園ミステリー好きだけど、あまり読んでいないので久々。アンソロジー、本当に極稀にしか読まないけど、「学園ミステリ」ということと、『理由あって冬に出る』など、伊神さんシリーズの似鳥さん、という好きな作家さんや読んでいないけど『叫びと祈り』が評判で気になっていた梓崎優さんの作品に期待して購入。
全体的にハズレがなく、好みな感じの作品ばかりですごく楽しめた。
『お届け先には不思議を添えて』伊神さんシリーズ(で名称いいのかな?)の短編。来年には同シリーズの作品集『まもなく電車が出現します(仮)』が出る予定(すごい楽しみ)だそうだけど、「それとは別に、このアンソロジーのために書き下ろして載いた、シリーズの最新作」のようので、この短編だけでも個人的には買って良かったと思える。
『横槍ワイン』〈聴き屋〉シリーズの3作目。個人的には読むのはじめて、来年には『聴き屋の芸術学部祭』が出るようなので買おうかなという気になった。
『スプリング・ハズ・カム』個人的にはノスタルジックな作品は苦手なんだけど、終わりの美しさはすごいなあ。