新版 日本神話

新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)

新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
古代史研究の第一人者であり、1300年の歴史をもつ神社の神主でもある著者が、日本神話の原像を追究した名著。現代人の多くにとって、神話とは『古事記』や『日本書紀』に描かれた神々の話となっている。しかし本来の神話はもっと素朴で、信仰に裏付けられながら、儀礼や祭式のなかで語り継がれてきたものではなかったか。地方の祭りの場に足を運び、文献のわずかな違いにも注目。徹底的に神話を再検討し、最新の考古学の成果も取り入れた待望の新版。

日本神話の入門書だと思って買ったら、ある程度以上の知識がないときつい本だった。一応、苦しみながら四ヶ月ちょっとの長い期間でちびちびと読み進めたけど、全く理解できなかったなあ。古文の引用が多くて辛かった。日本神話における「高度の政治性」、そうだから読みにくい、と読んだこともないけどそれを言い訳のよりどころにしてみる。
『天石窟戸へのアマテラスオオミカミの神ごもりは、十一月における太陽の衰微を象徴する神話でもあり、こうした神話類型は、東南アジアの大陸部などにもある。洞窟や箱に隠れた太陽神を、いろいろなものによってよびだす日食神話がそれである。決して日本特有のものではない。』(P82)このエピソードも、ひきこもりと無理に関連付けられていることの印象が強いぜ。
アマテラスオオミカミ以前の皇祖神(?)タカミムスヒ(高御魂)。
『完成された記・紀神話では、根の国は海原になく、地底の国となる。そして死後の世界である黄泉の国と結びつく。水平的他界観は、垂直的他界観へと変貌するのである。高天原―中つ国―根の国という立体化された世界は、北方系シャーマニズムが天上を精霊・神の住まいとし、下界を悪霊・死霊のところとする観念や、北方アジア系の建国神話に見られる、髪が天上から来臨するタイプにつながる、北方的な要素が強い。』(P119)垂直、水平。現代だと、地上に謎の地域なんてないと分かっているから、水平よりも垂直の方が神話にふさわしく思えるよね。