冷血

冷血 (新潮文庫)

冷血 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
カンザス州の片田舎で起きた一家4人惨殺事件。被害者は皆ロープで縛られ、至近距離から散弾銃で射殺されていた。このあまりにも惨い犯行に、著者は5年余りの歳月を費やして綿密な取材を遂行。そして犯人2名が絞首刑に処せられるまでを見届けた。捜査の手法、犯罪者の心理、死刑制度の是非、そして取材者のモラル―。様々な物議をかもした、衝撃のノンフィクション・ノヴェル。

最近このぐらい長い本を読んでないからちびちびと読み進めていたが、最後の150ページは一気に読み進めた。「ノンフィクション・ノベル」作者の脚色とか個人的な意見が一切入らないのがいいね。それでもこんなに面白い(といってしまうのは昔の事件でも不謹慎かな?)のがすごい。カポーティを読むのはコレが初めてだったけど、他の作品も読もうという気がわいてきた、けど他に「ノンフィクション・ノベル」の作品はあるのかな?
ペリーの自白を読んで、「彼らが長い時間にわたる恐怖を体験し、苦しんだという点だ。デューイはその苦しみを忘れることができなかった。にもかかわらず、怒りを抱くことなく――むしろ、いくぶんかの同情をもって――自分の傍らの男を眺めることができた。というのも、ペリー・スミスの人生は決してバラ色ではなく、憐れむべきものだったからだ。一つの蜃気楼から、また別の蜃気楼へ向かうぶざまで孤独な道程。しかし、デューイの同情は、寛恕と慈悲をもたらすほどに深いものではなかった。彼はペリーとその相棒がつるされるのを――続けてつるされるのを――見たいと望んでいた」(P449)デューイと同じように不思議と、怒りを感じなかったのは自分でも不思議だ。
悲しみ、やるせなさに満ちた終わりにはすごく感情を揺さぶられる。