美女と竹林

美女と竹林 (光文社文庫)

美女と竹林 (光文社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「これからは竹林の時代であるな!」閃いた登美彦氏は、京都の西、桂へと向かった。実家で竹林を所有する職場の先輩、鍵屋さんを訪ねるのだ。荒れはてた竹林の手入れを取っ掛かりに、目指すは竹林成金!MBC(モリミ・バンブー・カンパニー)のカリスマ経営者となり、自家用セグウェイで琵琶湖を一周…。はてしなく拡がる妄想を、著者独特の文体で綴った一冊。

カバー裏のあらすじを見ても、エッセイなのかエッセイを装った(あるいは私小説に見せかけた)小説なのか判断つかなかったけど、エッセイ。
明石氏、面白い。
『「それはおかしいのではないか?竹林を刈ることを書く文章のために、竹林を刈る時間がなくなるというのは本末転倒ではないのか?」
「たしかにおかしいのですが、しかし現にそうなのです。こんな厄介なことになるとは思わなんだ」』(P90)こういう、「竹林を刈ること」を最初の目標にしたのになかなか行けずに言い訳を重ねている文章が面白いなあ。
『富士井氏は登美彦氏に自分のことを「親友」と呼ばせたがるが、登美彦氏は断固として「親友」と呼ぶことを拒否している。
 彼らの腐れ縁は、どんなに登美彦氏が冷たくあしらっても決してへこたれずに食らいついてくる富士井氏の不屈の精神に拠っている。その溢れんばかりの友情に対し、登美彦氏は高飛車な深窓のご令嬢のような冷酷無惨な一瞥を持って対応した。』(P187-188)この前後のくだりにはすごい笑った。