水滸伝 虚構の中の史実

水滸伝―虚構のなかの史実 (中公文庫)

水滸伝―虚構のなかの史実 (中公文庫)


内容(「BOOK」データベースより)
「読まされた」四書五経に対し、「隠れてでも読んだ」水滸伝。少年時代からの水滸伝ファンであった著者が、この痛快無比な長篇小説の中から宋江魯智深蔡京ら特色ある人物を取り出し、虚構と歴史的事実とを対比させて、水滸伝がかくも広範に読みつがれてきた魅力の源泉を探る。

読んだのは新書版。
水滸伝、読んだことなかったけど楽しめた。四大奇書、読まなくちゃとは思っているんだけど全然読めてないなあ。水滸伝、70回、100回、120回とあるが成立当初は100回本に近い形だったらしいので読むときはそれを読もう。
水滸伝、『まったくの虚構の物語ではなく、その中にいくぶんの史実を含んでいることは、古来学者によってしばしば指摘されてきたところである。』(P ii)「史実を含んでる」ということすら知らなかった。
『それにしても国が滅び、都が占領され、自身も捕虜の身になっている時に、寵愛の傾城を自分の軟禁されている場所に呼寄せようという徽宗の神経はただ事ではない。』『そうしてこういう理解できない事実の積み重ねで北宋王朝は滅亡した』(P23)確かにいくら昔だとは言っても尋常ではないねえ。
主人公の宋江が『これまで一人の人間にちがいないと思われていた宋江が、実際には盗賊の宋江と、将軍の宋江と、まったく異なった二人の人物であった』(P42)宋江、記録に登場するのが三年しかないのに、同姓同名の二人が活躍する時期が一致したというのは、ものすごい偶然で面白いな。