日本史への挑戦 「関東学」の創造をめざして

内容(「BOOK」データベースより)
「関東」は、日本史のなかでは鄙の地として、奈良や京都のはるか遠景に置かれてきた。しかし、この地に鎌倉幕府が置かれ、江戸幕府が開かれたのは偶然ではなく、関東に大きな潜在力があったからである―古代考古学と中世史の二人の碩学が、関東という地域社会の独自な発展の歴史を掘り起こし、日本列島全体の中で、また東アジア、アメリカ大陸との交流も視野に入れて、その豊かな個性を明らかにする。地理的な特徴、交通と交易、独自な産業、渡来人の文化、宗教の系譜など、さまざまな視点から関東の歴史を語り、新たな「関東学」の地平を開く、刺激的な対論。

対談。「東と西の語る日本の歴史」に引き続き、網野さんの東国史の本。
ページの下に注があるのはありがたいけど、量が多いな*印が出てきたあと、下の欄にその注が載るのが何ページも後とかになっているところが結構あるのが、少しページを行ったり来たりでちょっと面倒。図や写真がすごい多いのは良かった。
『江戸は一貫して「江の戸」という入り江の良い港で、早くから都市が形成されていたことを詳しく明らかにしてくれました。鎌倉についても頼朝の仕事を大きくみせるために『吾妻鏡』はそれ以前は貧しい漁村だったといっていますが、江戸も家康の功績を前面に押し出すために、それ以前の江戸を寒村、野原だったとしたのです。』(P58-59)江戸、家康以前から都市になっていたということははじめて知った。
縄文時代から黒曜石にせよ、ヒスイにせよ、コハクやアスファルトにせよ、みな自給ではないわけですね。また一方、最初から交易を目的にして生産をしている集団が、塩や黒曜石に即してあると聞いています。商業は人間の歴史とともに古いといっているのは、たしかエンゲルスだったと記憶していますが、これはまさしく真理だと最近は考えるようになりました。』(P198-199)古代、自給自足という幻想。