鹿洲公案―清朝地方裁判官の記録

鹿洲公案―清朝地方裁判官の記録 (東洋文庫 (92))

鹿洲公案―清朝地方裁判官の記録 (東洋文庫 (92))

18世紀前半,清の雍正帝の時代,潮陽県の名知事藍鼎元(雅号を鹿洲)が在任中にあつかった民事,刑事事件の捜査と裁判の記録。旧中国社会の実態を伝え,小説以上のおもしろさ。
平凡社図書目録 検索詳細情報より)


実際にあったというのが信じられないほど、名地方官のすさまじい手腕で事件を解決させているなあ。ただ中盤以降は少し失敗というか、汚職上司のせいで、免官させられた結果、真相がわかっていても犯人を刑に処する前に終わってしまった事件もいくつか。
一つ一つの事件が長くとも20ページ程度なのに、なんでこんなに、個々の事件の印象が薄くならずに面白いんだろう。
『この書を正しく読むためには、予め偏見を用意してかかって欲しくないと思う。近頃は、支配者は何でも悪く、下層民は何でもよく、叛乱さえ起こせば社会の進歩になり、騒ぎさえすれば、それだけ社会の利益になるというような考えが、一部学者の間にもあるようだが、とんでもないことだ。』初版が67年だからか、解題にこんな注意が書かれているが、そういう読み方を読んでいて考えもしなかったので、そんなことを書く必要があった当時の状況はいまから数十年前のことなのにさっぱりわかんないなあ。