匪賊の社会史

匪賊の社会史 (ちくま学芸文庫)

匪賊の社会史 (ちくま学芸文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
ロビン・フッドや西部劇に描かれたアウトローなど、世界各地でいまなおヒーローと讃えられる匪賊たち。彼らはときには暴力的に振る舞い、社会的混乱を引き起こして危険因子と見なされながらも、抑圧的権力に対抗し、正義を求めて闘う、民衆の強い味方だった。母の名誉のために闘ったパンチョ・ビリャ、貧しい寡婦のため銀行強盗を犯したジェシー・ジェームズ。近代化以前のあらゆる国と時代において、民衆の生活に不可欠の要素として活躍した匪賊の系譜、その生き方や、彼らをめぐる政治・経済構造を丹念に追ったホブズボーム若き日の意欲作、待望の復刊。

図や写真が多い。匪賊という児だけだと大昔のことと思ったけど案外近年の人等にも触れてある。
ロビン・フッドは農民匪賊すべての模範であるが、しかし事の性質上、農民匪賊で理想主義、没利己心、あるいは自分たちの役割を生き抜く社会的良心、をもつ者はほとんどないし、おそらくまたそれを期待できる者は、まずいない。しかし、そのように生きた匪賊――真のロビン・フッドたちはそうだったといわれている――は英雄として、さらに聖者として崇拝を受けている。』『他方では、英雄とチャンピオンに対する渇望がそれほど強かったので、本物がいないばあいには、あまりふさわしくない候補者がその代用をさせられている。実際の生活では、大抵のロビン・フッドたちは貴族的(ノーブル)というには程遠いものだった。』(P50)日本でなら国定忠治とか。
『民衆にとってかれは英雄であったし、今もそうである。しかし如何なる意味で英雄かという点では曖昧である。』(P82)確かにそういう人物に一定の人気があるのもわかるけど、どこが魅力で惹かれるのかいまいちわからないなあ。
『やがて彼らはこれまでの襲撃の際にも行われたためしがなく、また自分たちも悪いと知っていること――拷問、強姦、幼児殺し――をやっていることに気付いた。しかもなお、彼らは自分を制御することができなかったのである。』(P99)このエピソード以前にもどっかで読んだことあるけど、わけのわからん精神状態だよなあ。
『伝説的な匪賊の指導者がしばしば個人的には体が弱いか障害があるものとして現われ、その集団中の最も力の強いメンバーと考えられていることはめったにないのは、意味深いことである。』(P218)注40、そういえば「水滸伝」の宋江もそんなキャラらしいね。