倭人伝を読みなおす

倭人伝を読みなおす (ちくま新書)

倭人伝を読みなおす (ちくま新書)

内容(「BOOK」データベースより)
古代史の一級資料「倭人伝」。邪馬台国卑弥呼への興味から言及されることの多い文章だが、それだけの関心で読むのは、あまりにもったいない。正確な読みと想像力で見えてくるのは、対馬、奴国、狗奴国、投馬国…などの活気ある国々。開けた都市、文字の使用、機敏な外交。さらには、魏や帯方郡などの思惑と情勢。在りし日の倭の姿を生き生きとよみがえらせて、読者を古代のロマンと学問の楽しみに誘う。

網野さんとの対談本「日本史への挑戦 「関東学」の創造をめざして」を読んで興味を持ったので、森浩一さんの本を購入、すごく読みやすかったのと、古代日本についての本は誰の本を読んでいいかわからなかったので、森さんの本をもっと読もうと思った。
卑弥呼の死についての記述の中の「以死」は他の中国の史書の用例は”非業の死を遂げた”ものばかりで、前後から考えると『問題の箇所は張政が難升米に”檄を作って告諭した。(そのことによって)卑弥呼は死んだ”と読むべきだとみられるようになった。』(P161)これとそれから著者の自説の卑弥呼自死説、には驚いた。
倭人伝原文、P37-40、注もないから読み飛ばしてしまった。漢文わからないし。それにしても、たった数ページの文章をそこまで読み解く人たちは本当にすごいな。
『日本列島にだけ関心のある人は、ときには倭人伝しか読まない。それでは東夷伝高句麗や韓の条ですでに説明されていることを知りようがない。
 著者の陳寿は、自分よりのちの時代に『三国志』を読む人は、最初から順番に読んでくれることを前提に書いてある。まさか倭人伝だけを読んで、あろうことか歴史の議論をする人があらわれることは予測しなかっただろう。』(P24)「予測しなかっただろう」そりゃそうだ。倭人伝を読んだ結果犯した読み間違いについて指摘。
『"弥生時代は農村ばかりの時代”という捉え方にたいして、今日では”弥生時代は各地に小都市(国邑)があって、その周辺に多くの農村や漁村などが点在して、各地の生活(経済も)が成り立っていた”』(P34)ヤマト王権以前の段階に各地に小都市があったというとらえ勝たしたことなかったので吃驚。