日本の深層文化

日本の深層文化 (ちくま新書)

日本の深層文化 (ちくま新書)

内容(「BOOK」データベースより)
日本の深層文化を探ること―それは、かつての日本人たちの豊穣な意味の世界を生きなおすことだ。「稲作文化」の常識に反して、かつて穀物の一方の雄であった粟の意義。田とは異なる豊かさを提供してくれた各地の「野」。食用だけでなく道具や衣類そして儀式の象徴となる鹿。さらには「大きな魚」としてのクジラ…。思い込みを排すれば、史料と遺跡はこんなにも新しい姿を見せてくれる。

古代の禾(アワ)が主要作物だった。エノコロ草(ネコジャラシ)が畠で栽培し食用になっていた。『古代の歌や物語など文学の世界では陸奥は人びとの憧れの地であった。』(P65)。日本列島の古墳は約二十万基、そのうち被葬者が判明しているのは二十基前後。鹿は古代でも食料ではなく、宗教的なものだった。全体的に、以前網野さんとの対談本「日本史への挑戦」や「倭人伝を読みなおす」で既に読んだような内容が多かった。