異形の王権

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

異形の王権 (平凡社ライブラリー)


内容(「BOOK」データベースより)
婆娑羅の風を巻き起こしつつ、聖と賎のはざまに跳梁する「異類異形」、社会と人間の奥底にひそむ力をも最大限に動員しようとする後醍醐の王権、南北朝期=大転換のさなかに噴出する〈異形〉の意味と用を探る。

一冊全部後醍醐天皇とか南北朝の話だと勘違いしていた。中世の聖と賤についての話と図版、絵が多くて、中世のそうした人たちの格好がわかりやすくて良かった。
扇を顔の前に当て、その骨の間からものを見る動作や女性が口元を袖で隠す動作は『「公界」の場で、突然おこった出来事、突如としてその場の状況を一変させるような事件を見なくてはならない状況に遭遇したとき、あるいはすでに予想されるそうした事態に自ら加わる彩、手に持った扇で面をかくし、人ならぬ存在に自分を変える意味を持っていたのではなかろうか』(P112)
『中国から導入された袴以前に、脛のみえる丈の短いスカート型の衣服が、農民をはじめとして広く用いられており、袴はそれと区別された上級官人の衣服として採用され、王民身分に及ぼされた』(P121-122)袴、幕末で身分シンボルだったということ「武士の家計簿」は少し読んだけど、古代においても身分を分ける衣服だったのか。
伊賀兼光、『第一次倒幕計画の失敗の後、建武政権樹立までの約十年の間、兼光が、完全に面従腹背の姿勢を幕府にとりつづけ、恐らく後醍醐のスパイともいうべき、きわめて危険な役割をはたしていたと推測される』(P207)この時代のことについては、本当に何にも知らないから名前すら初見だ。先にこの時代についての本読んどくべきだったか。