武王の門 下

武王の門〈下〉 (新潮文庫)

武王の門〈下〉 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
懐良は肥後の名将・菊池武光と結び、悲願の九州統一を果たした。そして大宰府を征西府の拠点とし、朝鮮半島の高麗や中国大陸の明と接触することで、全く新しい独立国家の建設を夢見る。しかし、足利幕府から九州探題に任ぜられた今川了俊は、懐良の野望を打ち崩すべく、執拗に軍を進めた―。二十数年にわたる男の夢と友情のドラマを、ダイナミックに描いた一大叙事詩の完結。

ちびちびと読み進めてきたけど、ようやく読了。面白かった。北方さんの別の南北朝時代歴史小説も近いうち読もう!
夢に向かう者、託す者。九州独立という夢は美しいがかなわないと知っているから、その夢へ向かっていって徐々に現実味を持ってくるのが逆に悲しい。頼元、懐良は上洛軍を実現させてあげられない(し、するつもりもない)とわかっていても、否定してあげることもできずに誤魔化さざるをえないのは切ない。
菊池、この小説読むまで印象の薄い氏族だと思っていたが、この時期こんなに強かったんだね。九州から出なかったから印象が薄いだけで。
武光の死によって、すべてが瓦解。近づいていた夢がこんなにもあっさりと掌中から零れ落ちるのをみるのは悲しい。