戊辰戦争 敗者の明治維新
- 作者: 佐々木克
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1977/01/25
- メディア: 新書
- クリック: 33回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
戊辰戦争に勝利することによって薩長討幕派は明治政権の主体となりえた。だが幕藩制国家にかわる統一国家の構想は討幕派だけがもっていたのではない。徳川慶喜、榎本武揚、河井継之助、そして会津、庄内および奥羽越列藩同盟も自ら描いた国家像があった。彼らは・朝敵・とされながらも何故に、何を求めて戦い、敗北したのか。敗者に負わされたマイナスの遺産はなにか。敗者の側に分析の視座を置いて戊辰戦争に新たな照明をあてる。
あとがきに『本書は研究書としてかかれたものでもなく』(P224)とあるように、やたら細かくなく難しくも無いので、読みやすく面白かった。歴史の本はこういうのが好きだが、研究書とそれ以外をどうやって見分けんのかよく分からん。
倒幕の挙兵盟約、薩長芸。芸州藩って維新時にどういう役割を果たしたのかがよく分からんのだが、維新後に果たした役割もだが。
<奥羽政権>、東北諸藩主導の政権構想。結果が分かっているからか、勝つつもりでそういう同盟を起こしたということを考えていなかった。最初の会津をかばうことから、ずっと目的変わらずにそのままという印象しかなかった。『同盟諸藩が反対したのは、薩長討幕派のクーデター方式での王政復古とその方法』と『鳥羽・伏見戦争の<朝敵>処分方法』(p216)で『徳川幕府の復活を求めてはいない』
仙台藩、主導権握ろうとして、不協和音起こしているとかダメダメだな。しかも、最精鋭の『イギリス式編成の仙台藩最強部隊である額兵隊約千名』(P144)は出番が無いまま降伏って。笑えねえ、のか笑えるのか微妙だ。
北越戦争、ここら辺の戦いそういえばなんかやってたらしいぐらいで、印象希薄だ。長岡藩、河井の「中立」策は、政府軍への会談も一度きりでその後は交渉・会談をもとめなかったように、実際にはかなり同盟寄り。
水戸藩の内紛ひどいな。
蝦夷共和国、実際は共和国(独立)構想はなし。
『日清戦争に匹敵する兵力を動員した』(P208)武器がしょぼいからか、大政奉還のイメージからかはわからないが、日清戦争に匹敵する兵力が用いられたくらいの大規模の戦乱だとは思っていなかった。