江戸のお白洲

内容(「BOOK」データベースより)
婿殿毒殺を企む大商家の女たち。牢人五人で吉原立てこもり。結婚式翌々日の新郎殺し。下半身接待を強要した町奉行同心。嫉妬のはての同僚イジメで暴発した刃傷沙汰。呆れた事件から凄惨な事件まで、お奉行たちはどう対処したのか?近世史の第一人者が、確かな史料をもとにして紹介する、江戸の犯罪判例全25話。

表紙のイラストが時代小説っぽいので(時代小説は読まないから)、文春文庫の新刊でたしか買うものあったけどなさそうだ、と思って、スルーしそうになってしまった(笑)他の本の中の「12月の新刊」を少しみてタイトルを思い出して改めて見てみてようやく見つけた。
山本さんの本、対馬藩とか薩摩についての本に前から興味があるがまだ読めていないので読まなくては。
刑罰死罪多い、というか牢に入って死ぬ例が結構あるので、正直牢に入れられたら死ぬ確率やたら高そうだ。懲役何年とか間が無いから死罪多いんだろうけど、まあ、牢に何年も入っていたらどうせ死ぬから死刑と同じ結果だろうけど。
『馬場文耕はお熊を悪女の見本のように描いているが、実は好きな男と添い遂げられなかった女の悲劇であり、忠七と一緒に死ぬのなら心中同然のことで、本望だったのではないだろうか』(P168)いやあ、結婚後もそれ以前からの恋人とずっと続いていて、持参金がないと店がつぶれるから、病死に見せかけて夫を殺そうとしたり、心中に見せかけて殺そうとしたりと二度の殺人未遂をしでかしたのを、悲劇と片付けていいものか。それに自身らの放蕩で店を傾かせ、家族が共謀して婿を殺そうとするというのは異常で薄ら寒いものを感じる。「心中同然」というのは、婚儀のとき『好きな芝居を思い起こせば、駆け落ちの末路は心中ばかりで、あまり乗り気がしない』(P162)と思って駆け落ちしなかった人が、「心中同然」で本望と思うかな?まあ、心中描写は創作だろうけどさ。