幻影の書

幻影の書 (新潮文庫)

幻影の書 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
その男は死んでいたはずだった―。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のヘクター・マン。その妻からの手紙に「私」はとまどう。自身の妻子を飛行機事故で喪い、絶望の淵にあった「私」を救った無声映画こそが彼の作品だったのだから…。ヘクターは果たして生きているのか。そして、彼が消し去ろうとしている作品とは。深い感動を呼ぶ、著者の新たなる代表作。

オースターを読むのは「幽霊達」以来二冊目。文庫化してからすぐ買ったから、三ヶ月程度積んでいたのか。
海外のミステリーじゃない小説を読むの久々な気がする。海外の小説は、あらすじや著者の名前、書評などで興味がわく作品は、マジックリアリズムやよく意味の読み取れないブンガク作品や古い小説が多く(だって、あらすじやら説明文は面白そうなんだもんなあ)、海外の小説は読みにくいというイメージが結構強かったので、海外の小説は久しく読んでいなかったが、これは吃驚するくらい読みやすくて、面白かった。
これほどリーダビリティの高い作品読むの、久々。帯の惹句や以前見た書評サイトの書評などで、年間ベスト級くらいの期待をしていたので、正直読む前に期待(過大に期待しすぎていたので)していたよりも、という気が最初はちょっとしたがそれでも、読んでいて疲れたり飽きて集中できなかったりすることが一切なかったので、読み始めると読む手がとまらず2日で読了。なんか久しぶりに面白い小説を読んだ時の感覚を思い出した。なんか、ここ最近は小説読んでいて、読むことを面倒になったり、集中できずに10ページ前後をちびちび読むということが多かったので。
へクターの映画のような、非実在の作品について語られるのはなんか好きだな。
フリーダの横暴さは、なんか無理して映画を十分見れない理屈付けをしているような気がするのが、ちょっとあれだけど(というか不愉快だから、そう、自分で思おうとしているのかもしれないが)。だけど、もしかしたらまだあるかもしれないという含みのある終わりもよかった。
これ読んだ後に、「ボーン・コレクター」を買って読んだり(すごい読みやすい!!)、ずっと積みっぱなしになっていた「ロング・グッドバイ」を読み始めたり(こちらはちょっと思っていたよりも読みづらい)と、最近ろくに読んでいなかった海外の小説を読み始めた。