コフィン・ダンサー 上

コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫)

コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫)

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映画化され話題を呼んだ『ボーン・コレクター』に続き、四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムを主人公としたシリーズ。ベッドから一歩も動かずスーパーコンピュータなみの頭脳で犯人を追い詰めていく異色捜査官の本作における敵は、その刺青から「コフィン・ダンサー(棺桶の前で踊る死神)」と呼ばれる殺し屋。大陪審で大物武器密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われた彼によって、民間航空運輸会社の社長兼パイロットがその毒牙にかかり、彼の妻が次の標的に。大陪審まであと2日。追う者と追われる者の息詰まる勝負の行方は…。
最先端の科学捜査をフィーチャーした綿密なディテール、そのひとつひとつがすべて結末への伏線となっているその構成は見事と言うほかはない。前作に比べて犯人の人物造詣が少々浅いのが気にかかるファンもいそうだが、その分、被害者サイドおよびライムとその仲間たちの造詣はより厚みを増した。特に、ライムの麻痺した四肢の代わりに活動する美貌の捜査官、アメリアの存在感が光る。本作で彼への思慕の念をはっきりと自覚したアメリア。シリーズ3作において、ライムを待ち構える事件の内容はもちろん、皮肉屋で人間関係にきわめて臆病な彼が、彼女によってどう変化するのか。ちょっと下世話なお楽しみを用意しておくあたりも、エンターテイメント作家としての著者の手練だといえる。(梅村千恵)

前作読了後、わりとすぐに読み終えた。
ライム、もう自殺願望なくなっているようで何より。
『本来のデルレイよりも黒人英語の影響を感じさせない発音だった。』(P56)あ、デルレイって黒人だったの。前作では気づかなかった。描写があったが読み飛ばしていただけかもしれないが。
サックス、パーシーを逮捕しようとするというのは感情的で前作でも思ったが、やっぱり小説の登場人物というより映画・ドラマの登場人物という感じのキャラだ。しかし、ライムのパーシーに飛行機を予定通り飛ばすのを了承する判断にもたしかに疑問は覚えるけど。
面白いけど、ライムがなるべくパーシーの意図通りにしているように見えるので、どうにも無駄に危険を招いているようにみえるのが、ちょっと難点。犯人のパートは前回よりも好きだけど、ライムの判断にちょっと疑問を覚えるので、捜査側のパートは個人的には前作の方がずっと面白い。