午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン

内容紹介
酉乃初、普通の高校1年生。だけど実は……、レストラン・バー『サンドリヨン』でマジシャンとして活躍する彼女が遭遇した出来事を解き明かす。第十九回鮎川哲也賞受賞作。

以前から読みたいと思っていたが、ようやく読めた。文庫アンソロジーの『放課後探偵団』で短編を読んだけど、そのときも感じたが、なんか語り口が苦手。短編を読んだときは、ひょっとしたら登場人物のキャラの関係性を把握していないからそう感じるのかと思ったけど、そうじゃなくこういう語りはどうも駄目みたい。なので、個人的にはかなり苦手な語りのため読了するまでに結構時間がかかった。
『僕は未読の本には書店のブックカバーを被せたまま本棚に収めておくことが多いから』(P18)ブックカバー、わかるわあ。僕もAmazonとかで買ったのでない限り、未読の本はブックカバーかかったまま積んでいる。
ケチくさい、とかその類の言葉は読んでいる最中に気になっていたが、そういうのに物語的に意味あったというので納得。
八反丸、酉乃のトラウマの原因あんたかよ!自分のせいでトラウマになったワードを他の人(語り手)が他意なく言ってしまい怒らせた件について、他に指摘する奴がいなくともあんたにぶっていい理由は寸毫たりともねえだろ!
夢こそ最も尊い、みたいな自分のエゴで、現状への妥協(現状の幸福の維持)をひたすら責めて、最終的に酉乃が望んだ現状の幸福の維持を自分の方で壊す、というのはなんだかねえ。
巻末の笠井さんの選評の『作者は登場人物それぞれや、さらに主人公にもあれこれと「悩ませる」のだが、作者自身は妙に余裕ありげで、さほど悩んでいるようには感じられない。』(P324)という指摘にはなんか納得しちゃった。どうもそういう悩み、というか登場人物自身の思想みたいなものがどうも浮いて見える、わざわざそうした考えを言い出すタイミングが不自然に感じるからなあ。