幕末下級武士のリストラ戦記

幕末下級武士のリストラ戦記 (文春新書)

幕末下級武士のリストラ戦記 (文春新書)

内容(「BOOK」データベースより)
幕府が瓦解―。家族のためなら何でもやるぞ。畑仕事、内職、就活、のちに脱サラ。重なる失業にも屈せず、一字の虚偽もない自分史を書き残した将軍の影武者。あっぱれな生涯。

タイトルはちょっと安っぽいという気がするが、面白かった。安藤さんの本はどれも読みやすくていいな。
山本政恒の自分史(自伝)の紹介(?)というか、なんというか形容する言葉が分からん。全編にわたって、その山本さんの話。
常食は、扶持米(五年以上前の米。五年以上前の扶持米にあらず)ってひどいなあ。それでも、蔵米よりもマシというのが泣ける。当時は保管時の気温が管理できないから、現在の五年前の米より質が悪いと容易に想像がつく。江戸の人が、飢饉とか脚気になっても玄米では食べられず、米をついて白米にして食べたということを読んだことがあるが、今までは玄米で食べようよと思っていたが、飢饉や脚気で苦しむ階級の人には、きっとこういう質の悪い米しかなかったと思うと、白米にしても仕方がないかなと感じるようになった。
本家へ婿養子。父が死んで、子供が幼少のため、政恒が婿養子として入って御家断絶の危機を乗り越えようとしたとある。でも、お家断絶を防ぐため、死んでも公的には生きているということにすることは黙認の習慣だった。ともあるのに、なんでと思ったが、ひょっとして講武所のせい?
寛永寺彰義隊の戦いで堂塔の大半を消失。ひょっとして、将軍の肖像画の本画がないのは、ひょっとしてこのせいだったりする?
士族、維新後も官員(公務員)の約70%を占めた、ということは知らなかった。
最後の自画像や妻のスケッチを見ると、普通に写実的な絵も描けるようなので器用さがよく分かる。