鬼平の給与明細

鬼平の給与明細 (ベスト新書 276)

鬼平の給与明細 (ベスト新書 276)

内容(「BOOK」データベースより)
「武士は食わねど高楊枝」。武士たるもの、空腹でも食べたようなふりをするものだという意味だ。清貧な武士の姿は、飽食の現代人にとっては、まさしく理想像である。しかし、武士社会は金と無縁ではいられなかった。鬼平こと火盗改長官・長谷川平蔵の借金まみれの姿に、名奉行・大岡越前財テク術。理財の道に長けていた武士たちは、身分など低くとも、官僚組織のトップに登りつめることができた。江戸に生きた武士たちの本当の姿。アナタの歴史観が変わる一冊。

安藤さんは結構頻繁に著作を出しているからか、内容の一部に以前読んだほかの著作の内容がしばしば混じっているなあ。まあ、最近安藤さんの本を多く読んでいるからそういう小さなことが気になるだけだろうけど。
個人的には、既知のエピソードが多かった。
長谷川家、資産家。
長谷川平蔵が、人足寄場の運用のために、公金を資金に、銭相場に手を出して利益を上げた。そして平蔵は、松平定信に嫌われていた、というのは「盲目外道やる夫」で読んだ。まあ、タイトルからそのエピソード来るとは思っていたけどね。
知行取りは旗本の四割。
『俸禄米の量が同じでも品質が異なれば、当然換金額が異なる。身分が低いほど、実収入の格差は激しいことになる。』(P52)あ、やっぱり引き取られる金額も違うのか。米の質のくだりは「幕末下級武士のリストラ戦記」でも読んだけど、幕府が米の価格の平均の調整とかしているのかなとちょっと思ったが、やっぱりしてなかったのか。
初期から中期のどこだかで、幕府の財政難で多くの旗本を蔵米取りから知行取りに変えたとあったが、飢饉が起こったとき財政がすごくやばくなるというのはわかるが、それなら知行取りの方が、平均すれば米の質が良いんじゃないか?それとも、一応知行に変えることができるレベルの収入なら、米の質的には幕府が得なのかな、どうなんだろう?
まあ、少なくとも悪い米を俸禄米として貰っている(幕府が得をしている)ところは、幕府で直轄地を貰って知行取りになっても不自然でないレベルの石高の格はないのだろうけど。
江戸時代は訴訟が多い時代。一七一八年に町奉行が取り扱った訴訟の数は47,731件でその七割が金銭関連のもの。
商品作物には課税されない。あー、だから幕府は商品作物を作ること制限(田畑勝手作りの禁令)していたりしていたのか。