世に棲む日日 3

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (3) (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
狂躁の季節がきた。長州藩は既に過激派の高杉晋作をすら乗りこえ藩ぐるみで暴走をかさねてゆく。元冶元(1864)年七月に、京へ武力乱入し壊滅、八月には英仏米蘭の四カ国艦隊と戦い惨敗…そして反動がくる。幕府は長州征伐を決意し、その重圧で藩には佐幕政権が成立する。が、高杉は屈せず、密かに反撃の機会を窺っていた。

井上聞多(馨)、金策に一人駆けずり回っているのに、仲間が酒を飲んで、議論してばっかりではキレるのも無理ないね(笑)。
周布政之助、この本(シリーズ)ではじめて知ったけど、結構長州の攘夷運動などの革新運動の中で長い期間活躍していたんだね。維新志士たちにも温和な対応をしているし、この人のこと少し気になってきたな。
しかし、高杉という人は、大物らしくない人だなあ。動乱期という、時期のせいなのか、個人の資質なのか、あるいは書き方のせいかは知らんけど。
商人の白石正一郎に、家を没落させて悔いさせぬとは、白石も高杉晋作も両方すごいなあ、長年の付き合いというわけでもない人にそこまでほれ込まれるとは、人物的な魅力も相当あったんだろうなあ、高杉。
「集団が発狂踏舞する時代」とか作者が重ねているという面も結構あると思うが、この時期の長州と太平洋戦争時の日本と重なる部分があるね、色々と。
禁門の変、真意の説明や宣伝。陳情の為に長州は戦機を逸した。
「かれらは井上の抗戦論がここまで正気であるのをみて、むしろとほうに暮れた。」(P195)切腹しようとして、正気と思われる状況が既に狂気的だなあ。
今まで、高杉が下関戦争をした時点で藩のトップであったと思っていたが(和睦交渉をしていたから)、むしろ戦争を避けようとしたとは知らなかった、開戦後はとことんまでやれとは言っているが。
この和睦交渉の際の高杉のエピソード、面白いし、好きだ。