天帝のはしたなき果実

天帝のはしたなき果実 (幻冬舎文庫)

天帝のはしたなき果実 (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
勁草館高校の吹奏楽部に所属する古野まほろは、コンテストでの優勝を目指し日夜猛練習に励んでいた。そんな中、学園の謎を追っていた級友が斬首死体となって発見される。犯人は誰か?吹奏楽部のメンバーによる壮絶な推理合戦の幕が上がる!青春×SF×幻想の要素を盛り込んだ、最上かつ型破りな伝説の本格ミステリ小説が完全改稿され文庫化。

古野まほろ、なんか結構話題になっているけど、文庫になってから読もうと思っていたので、読むのははじめて。文庫ででていたのに今頃になって気づいたので、読むのが遅くなってしまった。講談社ノベルス版とは結構変更点が多い模様。750ページ越えの分量は多くて、読むのに結構かかってしまった。
聞いてはいたが、漢字(カタカナでもいいとこまで漢字だったり)やルビ(仏語など外国語(もちろんアルファベットでなくカタカナだけどね)のルビ)など独特な文章だな。
衒学小説と作中でも言っているけど、説明とかが殆どないから、良くも悪くも衒学小説っていう感じがしない。
軍とかでていたから、太平洋戦争前からの歴史改変かと思ったら、太平洋戦争に負けた後ロシアが日本に侵攻し始めた結果として軍が残った(だか再興されたのだったか、そこらへんのことはあまりよく覚えていないし、この膨大な量の中その記述のあるところ探すのもめんどくさいから探さないけど)という設定なのね。作中の時代設定は90年代。
第一の被害者が死んだ後、首切り殺人のため、それが本人か確認したら、列挙された古傷、血液型などの判断材料のなかに「歯科治療」があったのは何故?そのあとに『首については学内を徹底的に検索ちゅうで』(P193)とあるから、わけ分からなくて混乱したのだが。
「編集のミポリン」地の文だけでなく、作中の登場人物「古野まほろ」にまで言わせているのにはなんか意味あるのか。何も意味がなく、単にメタっぽくみせたいだけというのなら、しらけるのだが。
実際殺人が起こってもなかなかミステリっぽい雰囲気にならなかった(「古野まほろ」が実際に死体を見ていないせいだろうか、ピエロとかはどっちかというとオカルトに感じるし)が、500ページ近くになってようやくミステリっぽく本格的な推理に入る。
蝗という漢字の読める読めないとかは、わざと間違えて言うという可能性もあるから、それで容疑者を絞ろうとするのはちょっと強引では?
会議室でわざと倒れたことで、そのことに対する説明が不十分で、責められている理由がよくわからなかったが。読み終えて考えると、たぶん、犯人と共謀(というより犯人に頼まれて、その間何するかを正確には聞かされず)して、切間の飲み物に毒を入れる時間をつくるために、わざと倒れた、という理解でいいのかな?いまいち自信がないが。
最後の「古野まほろ」の推理に出てきた、鞘短刀(ナイフ)って、どこででたものだっけ?この分量の中から該当部分を探し出す気力もないけど。
なんだか、最後の犯人の真の正体は思わずがっくりきちゃう。いきなり雰囲気が変わって伝奇的になってもなあ、唐突さしか感じないもの。なんか清涼院流水の「コズミック」を連想させる感じがする、まあ「天帝〜」では犯人はあっちと違って、普通に登場人物としているけどさあ。
最初は独特な文章で面食らうけど、慣れれば結構読みやすい。推理していなくても、日常(?)部分は、キャラクターも好きだし、面白いけど。
最後の第四章はやたら理解するのが難しく(読み終えた今でも理解していないもの、わざと倒れたのがなぜかとか)、急激に読みにくくなったのが残念。もうちょっと、わかりやすく真相を提示してくれたほうが良かったのに。

以下ちょっとよくわからなくて混乱したところの一つ。
ネタバレ(?) 反転
というか、この狐は子供を産んだら、すぐにその子供として意識が移って、母体(というか前の自分)は死ぬって事でいいのかい?