群衆リドル Yの悲劇’93
- 作者: 古野まほろ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/08/07
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?
買ったときにはそうとは知らなかったのだが、どうやら天帝とは別シリーズだけど同一の世界観で、主役の2人組の出身高校もまほろたちと一緒、時代的にもあまり変わらないようで、作中でも天帝シリーズの古野まほろの名前も言及されている。天帝シリーズと同一世界観だから入りやすく、また天帝とは違いすっきりとした文章で読みやすかった。あれはあれで雰囲気がでていていいのだけど、どうしてもルビが気になってしまうからなあ。
橋を渡って館に行ったので、もう露骨に閉鎖状況になるフラグが立てるなあと思ったら案の定(笑)。他にも、人数分のインディアン人形ならぬ市松人形など道具立てがクリスティ「そして誰もいなくなった」っぽい感じ。あと、九領の「こんな人殺し館にはいられない!!」というテンプレ的反応をして、綺麗にフラグを立てて、あっという間にそのフラグが回収された早業には笑った。
あとユカが浪人生なのに、勁草館の制服を持ってきているのはコスプレか?と思っていたら、実際に作中でもイエ先輩に「女子高生コスプレ?」って突っ込まれていて笑った。正餐用の服装を買うお金がなかったという理由には納得したが。
しかし劇的に罪を告発した後、次々と殺していくのは悪趣味、もし他の様々なものと同様に、この世界観にクリスティがあるのならなおさら。まあ、ミステリにこんなことをいうのはお門違いか。
そして外見や性格的には全然違うが、大額教子の赤いスーツを着て「赤はあたしのテーマカラーなんです。常在戦場、レッドアラート」という台詞を見たら、どうしても戯言の哀川潤が連想され、くすりとくる。
イエ先輩、八重洲家康っていう自分の名前を嫌っているが、ユカが「何いってんですかヤエスイエヤス」とカタカナで読んでいるのを見て、なんとなくそれがわかった、似た音が続くからか。あと、カタカナで名前を見たとき、探偵=神ってことで、イエ(ヤ)スの文字が入っているのか、と連想したけど見当違いかな。
解決編、一気呵成にそれまでに起きた複数の事件について語られるから、いまいち理解が付いていかない、そして「モルグ街」リスペクト。
事件中でも終了後でも、真実を警察になんてことをやらずに、自分の好きなようにやっているイエ先輩って素敵です(笑)。
そして最後の犯人からの手紙、おそらくお膳立てをした黒幕は天帝シリーズのあの人か。