オーバーロード 5

オーバーロード5 王国の漢たち [上]

オーバーロード5 王国の漢たち [上]

内容(「BOOK」データベースより)
リ・エスティーゼ王国は、裏社会を牛耳る巨大組織「八本指」の脅威にさらされていた。その時、この国で己を全うする男たちが躍動する。アインズの命をうけ、情報収集の目的で王国に潜入した鋼の執事・セバス。“黄金”王女に忠誠を誓うも、己の弱さに苛立つ日々をおくる熱き兵士・クライム。圧倒的強者を目にし、抜け殻状態で王都に戻ってきた武の求道者・ブレイン。崩壊寸前の王国を舞台に三人の男たちがそれぞれの信念を胸に裏組織と対峙する!

 冒頭で折れてしまったブレインとガゼフが邂逅したことで、この後の展開がどうなるかわくわく感が増した。このシーンもいいなあ、ガゼフがブレインの姿に失望しながらも、放って置けなくて自分の家に無理やりでも連れて行っているのとか、雨の中でどうしようもなく儚く見えるブレインとかいいなあ。雨中のシーンだからなおさら絵になる。巻末のキャラ紹介のブレインのイラスト少しチャラくて格好いい、実力者だけど色々冗談を言って場を和ませるようなタイプ見える。このシーンを見たらそんな彼が雨にぬれるがままになっているというのは絵になるから、いいね。ブレイン、ほどほどに年をくっているのがわかるし、今回のブレインのイメージにフィットする実に素敵なイラスト。
 しかしブレインとガゼフの再開を見ることで、ガゼフがクライムに稽古をつけた理由が、本人は自らの配下を失った1巻での戦いがあってのことといっているが、実はブレインとの出会いがあって、彼が折れたのを見ているから、才がなくとも折れる気配すら見せず最高の努力をしているクライムに稽古付けたくなったのかなと、web版にもあったエピソードだけどweb版とはまた違う見方をしてしまう。
 「黄金」ラナー王女のイラストは、なんか本性を知っているから、それと実にマッチした、らしいイラストでよかった。他のキャラと比べてやたらと目がでかく違和感を覚えるのに妙な不気味さを感じ、それが彼女の黒さとマッチしているように見えるのかな。
 あとクライムは個人的なイメージでは両親のいないストリート出身の孤児で、声がしわがれていて、才能のない努力家ということでもっとゴツい老け顔かと思っていたら、貴族の子弟で熱血の少年騎士って感じでの見た目だったな。
 王国の王子はweb版ではたしか出てなかったと思うが、今回の台詞を見ているとラナーの異様さ、計算ずくっぷりがわかっているようだから、web晩とかの描写だと無能だと思っていたけど、案外有能なんだね。書籍版独自なのかもしれないが。
 そして蒼の薔薇のラキュースはラナーに八本指という貴族も絡んでいる大規模なアンダーグラウンドの組織に打撃を与えるために、自分たちが強行突入するという提案をするなど、web版よりも直情径行になっているな。web版ではラナーがその提案をして、ラキュースが実家に迷惑がかかる、無茶言わないでといさめているのに、書籍版では役割が逆になっている。うーん、こうやって見るとラナーの普段の擬態がより聡明になっているので、バレたのかなという気がしなくもない、そう思うと、世間知らずを装ってより完璧な擬態をしていたweb版の方が高性能だという見方も出来なくもないが、……味方にはならなそうだから、弱体化しているというのは楽観的過ぎるだろうなあ。しかしラキュース、髪の短いモデルみたいにすらっとしているというイメージだったので金髪縦ロールは想定外だったわ。それと前衛職なのに、逞しさが一切感じられないのは違和感が少しあるな。なんというか中二病要素と貴族要素だけでイラスト作ったのではないかといぶかしんでしまう外見。しかし意味のないリングをつけるなのど、ラキュースの中二病がより重篤になっているな。
 モモンとナーベの業績に、彼らの実力からすれば当然できる実績なのだが、蒼の薔薇のガガーランが感嘆しているのを見るのはちょっと嬉しい。
 エクスチェンジ・ボックスというものがあり、それにこの世界の物品を入れればユグドラシルの金貨に交換できるということで金貨が有限で、将来的な不安が残るということでもないと知って安心した。たとえアインズは実際にはどうかはしらないけど、一応不死という設定だから、将来的にナザリックは先細りという事態になるのではないかという不安があったので、そんな存在があると知って本当にホッとした。
 ツアレのイラストが痛々しすぎて直視できない、これでもまだマイルドに描かれているであろうことがわかるからなおさら。
 八本指の拠点のひとつに突入するまでが一気加勢に、スピーディになっていていいね。それにブレインが、セバスがクライムにちょっとした訓練をつけてやっているのを見て、クライムの心の強さに感銘を受けて立ち直り、3人で討ち入りに行くというのはより面白くなっていていいね。そしてブレインという王国屈指の実力者がセバスを見て、尋常でない実力を持っていることが伝わることで何か変わるのかな。ただ、王国屈指といえるブレインが勝てないと言って、セバスを仰ぎ見るようにしているのには思わず頬が緩む。
 しかしセバスは悪人相手とはいえ、殺すのに躊躇ないところは、さすがにナザリックのメンバーだな。
 しかしファンタジー世界でこういうのもなんだけど、隠し扉を見つけるマジックアイテムって、どうやって普通の扉と隠し扉を見分けているのか気になってしまう。回復とか肉体強化とか攻撃魔法なら納得できるんだけど、隠し扉という条件がファジィなものはちょっと気になってしまう。
 ここで引きかあ、web版と展開が前後しているから今後どう落着させるのか予測できないから楽しみだなあ(99.9…%ないだろうけどセバスが反旗を翻すなんて事態にはならないと願いたいものだ)。それにあとがきによると90%が書き下ろしだそうだから、ここから物語が展開していくのか非常に楽しみだ。
 しかし今回巻末の王国のガゼフ、クライムとかブレインのレベルが全部?でレベルがわからなかったのがちょっと残念だ。