花神 上

花神〈上〉 (新潮文庫)

花神〈上〉 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵適塾蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。

世に棲む日日を読み終えてからすぐ読もうと思っていたが、なんだかんだで2週間くらいかかってしまったな。個人的には主人公的にも「世に棲む日日」よりも「花神」の方が好きだな。しかし、このあたりの歴史を読むとなんか「風雲児たち」の人物イメージ、絵を連想してしまうな(笑)
適塾」の後進に国立大阪大学があるということは、知らなかったのでちょっと驚いた。
蔵六が石井宗謙に会いにきたのって、洪庵から彼が持っている新しい蘭医書を写すことを頼まれたためか。
石井宗謙、イネとの関連のためかそもそもの性根なんだかしらんが、この人なんかどこでも悪く書かれているなあ(笑)ま、別にフォローする必要もないし、フォローできる情報も全く知らないけどね(笑)
蔵六の父、夫婦仲はいいのに、実家(婿養子なので)や出身村にやたら愛着があり、蔵六が家業を継いだら、元の姓(?)に戻して、鋳銭司村にろくに寄り付かなくなったりするとか、この人も大分変わった人だな。
嘉蔵、箱車のエピソードははじめて知ったがいいね。
蔵六、淡白に見えるのに、故郷を好み、幕臣にならずに薄録でも(長州へ行くことで身分も給金も下がると言うのに)長州藩士になることを望んでいるのを見ると、士分でもないのにこのレベルの愛郷心があるというのは、かなり不思議だ。しかし、伊達宗城、自分の藩が士分にした村田の長州への了承して、食録を送ろうとまでするなんて、度量がすごい広いな。