李陵・山月記

李陵・山月記 (新潮文庫)

李陵・山月記 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作ほか『名人伝』『弟子』を収録。

かなり久々に再読。注解があるが、特に小説の冒頭部分は注が特に多いので、冒頭部分を読むのにやたらと時間がかかった。
元の古典の話を知らないから、どうアレンジされているのかいまいち実感できないので、すごさが分からないが、「山月記」や「名人伝」は読んでから何年もたっているのに、筋を覚えていたので、かなり印象に残る小説だということは確かだ。しかも、その冒頭の2編は本文が11ページしかないという作品ということにも改めて驚く。
面白かった。でも、こういう小説を読むと、中国の古典や思想を知ったらもっと面白いんだろうなと思う。僕には中国の古典の素養がないから、なにか入門書なりなんなりを読まなくてはな、という気にさせられる。けど、結局読まないということを繰り返しているので、そろそろいい加減に何かしら読まなくては。
いつもはなんか文章書き抜いたりしているが、この本ではどうも個人的に気に入ったような言葉が改めて書き抜くと、どうも現代では常識的なことがらを述べているに過ぎないようなことばかりになってしまったので特に書き抜いて引用はしない。
まあ、元々古典が題材で簡潔な作品だからだろうけど。注釈が必要な部分がとても多いから、簡潔で歯切れのよい作品だということが、ちょっと分かりにくくなっているけど(笑)