銃・病原菌・鉄 上


内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学言語学など、広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。ピュリッツァー賞、国際コスモス賞朝日新聞ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著、待望の文庫化。

ものすごく評価が高い本なので、文庫化したことを契機に読む。思ったよりも、ずっと読みやすかったことに驚いた。
プロローグが50ページ弱というのはちょっと長いなあ。
『新世界に侵入してきたヨーロッパ人は、致死性の病原菌にいはほとんど遭遇していない。この不平等なちがいはなぜ起こったのだろうか。』(P52)「ちがい」、今まで気にしたことなかったけど、たしかに何故だろうか?
『人類は約四百万年前に直立姿勢をとりはじめている。体系の大型化と脳容量の拡大は、直立姿勢をとりはじめてから約一五〇万年を経過した頃(いまから訳二五〇万年前)にはじまっている。』(P62)直立してから、脳容量の拡大までの期間がそんなに開いていたとは知らなかった。
ネアンデルタール人クロマニヨン人とが混血したという痕跡は、まったくといっていいほど残されていない。』(P71)この本が出た後、混血してたことがわかったらしいね。


ただし、2010年5月7日サイエンスには同じくマックス・プランク進化人類学研究所などによって、アフリカを出たホモ・サピエンスが10万〜5万年前の間に中東でネアンデルタール人と混血していたという論文が収載された[2]。
ネアンデルタール人Wikipediaより)

ネアンデルタール人と、現生人類は混血していた? ゲノム比較で推定 - (゚∀゚)ゞカガクニュース隊 (http--www.scienceplus2ch.com-引っ越しました)
 http://scienceplus2ch.blog108.fc2.com/blog-entry-925.html

マオリ族によるモリオリ族の虐殺。すごい惨いなあ、こんなことが19世紀に……。
『多くの地域において最初に農耕民になった人びとは、狩猟採集民より体のサイズが小さかった。栄養状態もよくなかった。酷い病気にもかかりやすく、平均寿命も短かった。』(P187)そう考えると、何故農耕をするようになったのか、不思議だな。
ニューギニアの高地で暮らす子供たちは腹部がふくらみ、口にする食物の量は多いもののタンパク質の摂取量が少ない食生活に特有の体型をしている。』(P273)お腹だけ出ているのって、タンパク質が少ないせいなのか。

肥沃三日月地帯、農耕に移行したのが早かったのは、農作物として育成できるような野生種がこの地域には豊富に分散していたから。そして、『突然変異主の有用な特性を子孫に伝達することができる「自殖性植物」が高い割合で自生していたため、初期の農民がその利点を大いに活用することが可能であった』(P250)ため。
また、人口が稠密で、家畜がいたため、新種(例えば現代では、鳥インフルなど)のウィルスができやすく、病気に対する耐性も高かった。はしか、結核天然痘、インフルエンザ、百日咳、熱帯熱マラリアはそうした家畜から人間に移された病気。
アメリカでは、家畜化できる群居性の動物の種が少なく(最終氷河期の末期に、野生大型哺乳類の八割が絶滅)かったため。また、ラマなどはアンデス地方以外に生息することはできなかったので、全体数が少なかったし、乳も飲まず、人の近くや、屋内で飼われることも無かった。

そして、アメリカ・ユーラシアの違いは、陸塊の東西の長さの差。似た気候の地域の人口が多ければ、色々な技術が伝播しやすい。