大江戸曲者列伝―幕末の巻
- 作者: 野口武彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 新書
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内容(「BOOK」データベースより)
ペリーに抱きついたマジメ学者、アメリカ女性にもてた少年通訳、先祖の悪名が気になる大名、殺しを愛した勤王家、机上作戦では必勝の指揮官、銃弾に散った旗本、クリカラモンモンの歩兵差図役…など三十八人。歴史変動は万人が避けられぬ巨大災害だ。切羽詰まった現場のナリフリ構わぬ姿にこそ人の器が出る。いかに土壇場を切り抜けたか、あるいは切り抜け損なったか。目が離せない幕末ドタバタ人物誌。
一番初めの吉田松陰の章、書き出しが小説風なので、全編そんな感じかとちょっと不安になったが、それは例外で全体的には普通の短い人物伝。
「ペリーに抱きついた男」松崎純倹、ペリーに抱きついたエピソードは「風雲児たち」で見たが、そのエピソードは誰がやったかは知らなかった(もし、書いてあったとしても忘れていた)ので、名前は(たぶん)初めて知った。
「人気者トミー」立石斧次郎。幕末の使節、アメリカでマスコミ人気。幕末の時期に、アメリカでこうしてマスコミから人気がでるという、現代的な事象があらわれているのを見ると、改めて、当時の日本と西洋の違いに驚く。
井伊直弼、「自分が憎まれているという実情がわかっていない」。彦根藩江戸目付は、直弼自身の評判を良く報告していた。当時、権力者で上にいるからこそ臣下が遠慮して、情報が正確に入りにくいものがあった。その点でも当時の西洋との違いが際立つね。
大谷木醇堂、『公私こきまぜて幕府要人のゴシップを何百冊も書き連ねた。』(P48)量多すぎて笑ったw
伊藤博文、この本では「近い将来の日韓併合を視野に入れていた。」とあるけど、実はそうじゃなかったと言う説も聞いたことがあるので、そろそろ伊藤についての本を何冊か読んで、どっちの説が個人的に納得いくか吟味してみようかな。
「幕末の二重スパイ」大庭恭平、「足利三代将軍木仏梟首事件」の扇動者でスパイ、これだけでもわけわからんが、事件後仲間の浪士たちを、公用方の情報を伝えて、その伝えているときも、自分が密偵につけられていることを知っているんだから、結局無駄とわかっていながら逃がそうとしている。でも、わけわからんけど、少なくとも事件後にとった行動に関しては、すごく共感できるなあ。
幕府から新政府への引渡し、「竹橋蔵にあった勘定奉行所の書類があわてふためいて焼却された」(P180)もったいない……。
七分積金、福祉の金がインフラ事業に……。