すべての美しい馬

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)



内容(「BOOK」データベースより)
1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。

これを買って積んでいる間に、『ザ・ロード』が出て、それを先に読んだらあまり好みじゃなかったから、最近までずっと積んでいたが、ようやく読み終えた。どうも最初の方は、どういう人物関係なのかわからなくて、ちょっと読むのが辛かった。通学のときに10ページ、20ページ読み進めていたが、そういう読み方(長い期間かけてちびちび読む)とこの本が合わなかったという可能性もあるけど。でも、そうやってそれしか読むものがないという状況にしないと、自分の性質的にきっともっと読みやすい本に流れてしまうから、しょうがないけどさ。そういう読みにくい本こそ腰を据えて、ある程度集中できる環境でじっくり読まなくちゃならないんだろうけど。小説以外の本なら、ある程度読みにくさも許容できるようになってきたんだが、小説にはどうしても読みやすさを求めてしまうから、どうも普段家にいるときなどに読む気がしない。というか、最近なんで小説を読むのは娯楽のためなのに、わざわざ読みにくい本を読むのかと思い、そのことに特に理由がないことに気づいた。むしろわかりづらい、理解できない小説を読むことは、時間の浪費だということに最近ようやく気づいて、最近文学作品を買う割合が大分減ってきている。個人的には、本をよく読むようになって5年か6年だが、ようやく背伸びして文学を読む時期が過ぎたということかな。少なくとも自分に合わない小説のタイプが最近徐々にわかってきた気がするよ、たとえば、ブログやamazonのレビューで興味がそそられても、きっと読み通すことができない(読んでいるうちに辛くなる)だろうと思う作品に気づくことができるようになり、その作品に手を伸ばさなくなったよ。

僕には行間を読んだり、文章のなかから細かい感情の機微について察するようなことがろくにできない、ということもあって、正直面白さがわからない。特にこの本みたいに、地の文で内心について語ってくれることのない小説は。というか、こうして地の文云々と書いていてようやく気がついたのだが、ひょっとしてこれってハードボイルドというジャンルにはいる小説なのでは、とやっと思い当たった。
どこかのブログの書評で『越境』に興味がわいたんだが、マッカーシーの本2冊読んで、面白いと思えなかったんだから、止めたほうがいいかな。まあ『越境』は、いずれ、もっと文章を読めるようになったときにでも読もうかな。

ジョン・グレンディとロリンズが馬にロープで足かせをつけたりなどをして、あっという間に気性の荒い馬を馴致したシーンは好きだ。

ジョン・グレンディたちが収容された、メキシコの監獄での囚人同士の喧嘩沙汰みたいなのが激しいようだが、こういうのはアメリカが舞台の作品でもよく見るけど、アメリカ大陸の監獄だったりではそういうことが常態で、リアリティがあるのか、いつも不思議に思う。ちょっと、アメリカの(昔の)監獄について興味がわいてきて、それについての本を読みたくなってきたな。

ブレヴィンズの馬を取り返してやろうと思ってした行為、どうしていきなりそうした行動まで至ったのか、わからなくて、そうした展開になったとき、ちょっと呆気にとられてしまった。

最後のアメリカに帰ったあとのエピローグ部分の方が個人的には好みだった。