幕末日本探訪記
- 作者: ロバート・フォーチュン,三宅馨
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/12/10
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
英国生まれの世界的プラントハンターが、植物採集のため幕末の長崎、江戸、北京などを歴訪。団子坂や染井村の植木市など各地で珍しい園芸植物を手に入れるだけでなく、茶店や農家の庭先、宿泊先の寺院で庶民の暮らしぶりを自ら体験。日本の文化や社会を暖かな目で観察する一方、桜田門外の変、英国公使館襲撃事件や生麦事件など生々しい見聞をも記述。幕末日本の実情をつぶさに伝える貴重な探訪記。
ちょっと前から、幕末に来たプラントハンターについて少し興味を持ったので、興味が失せる前に読むことができてよかった、文章も読みやすかったし。
冒頭の『ローマ人が、古代ブリテン時代のイギリスの島々に注目したように、わたしも長い間、日本に対して、同じ見解を抱いていた。』(P23)どういう意味なのかよくわからん。
『長崎の港は世界中で最も美しい港の一つで』(P26)僕自身はあまり風景について感動を覚えたりするような性質ではないのだけど、こうやって景色や富士山(これも何度も出てきてそのたび褒めてくれている)褒められているとなんか嬉しいよね。愛国心というと政治的なことがらの意味も含有してしまう気がするから、素朴な郷土愛(「郷土」を日本全国に拡大した)みたいなもんかな。
日本と中国との間での交易も活発になったとあり、どうしても欧米との間の交易(とくに武器の輸入や不平等な貨幣交換レート)についてばかり注目していたので、よく考えれば当然のことだろうが、こうして指摘されるまで気がつかなかったよ。
汽車の模型の試運転のとき、『このとき日本の代表者達は、蒸気機関で走る汽車に、最も興味を持ったということであった。しかし、シナ人のように、驚いたり、不思議そうな素ぶりは見せなかったそうである。』(P48)それはちょっと意外。一部だけがそういうことを知っていて平静を保って、あとの大多数は驚いていたようなイメージだったので。
『鹿肉はどこにでもあった』とあるので、当時は鹿肉がポピュラーだったのか。
日本の幾つかの植物に!マークをつけて、興奮しているのを見るのはほほえましい。それと、「英国種のイチゴ」、「イギリス種ジャガイモ」って、これらはイギリス人としての自尊心からイギリスっていっているのかなあ(笑)
植木屋が一箇所に集団をつくる、中国でもあることだということに少し驚いた。イギリス人が驚いているということはヨーロッパにはそういう形態は(少なくとも主要な国には)なかったのかな?あと、イギリスと清との戦争に関連した場所があると、なんかわざわざいくつも紹介しているが、当時の読者の興味を引くだろうから書いているのか、単に愛国心なのかどっちだろ?