汚辱の世界史

汚辱の世界史 (岩波文庫)

汚辱の世界史 (岩波文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「無法請負人」モンク・イーストマン、「動機なき殺人者」ビル・ハリガン(ビリー・ザ・キッド)、「傲慢な式部官長」吉良上野介など、読者には先刻お馴染みの悪党や無法者についての史実や原話を本歌取りしたボルヘス最初の短篇集。ボルヘスによる悪党列伝。

汚辱の世界史を読んでいたことは覚えていたが、その他の短編も、集英社文庫の「砂の本」に収録されていて読んでいたことをすっかり忘れていた。ちょうど「翻訳夜話」(だっけ?)を読んで2人の訳者が同じ短編を訳したものを読んで片方で意味のとりにくかったものがもう一方で分かるという体験をしたばかりだったので、分かりにくいところは集英社文庫の訳を見ながら読んだ。とくに最初の「S.D.に贈る〜」という文(こういう文ってなんていうんだっけ、後でググろう、あ「エピグラフ」か)はこっちではまったく分からなかったがあちらで読んでようやく意味がわかった。

一番最初の短編(?)の「ラザレス・モレル――恐ろしき救世主」の冒頭部の、『スペイン宣教師バルトロメ・デ・ラス・カサスは、地獄差ながらのアンティリヤスの金鉱で憔悴しているインディオに同情し、時の皇帝カール五世にその救済策を上奏した。黒人を輸入し、かわりに彼らを金山地獄で憔悴させてはいかがというのである。』(P15)には変な笑いが出てくる。

「トム・カストロ」、まったく似せようとしないで、息子と名乗り出るお人よしな偽の息子と、詐欺師。しかも、その息子を探していた母が死ぬまでは息子として生活していたというのはすげえよ。詐欺師ボウグル、タイムズにイエズスの神父という署名で長文で現当主(自分が仕立てた偽の息子、トム・カストロ)を批判する内容の投書を送り、『世の中の良識ある人たちはサー・ロジャ・チャールズがイエズス会の恥しらずな陰謀の罠に掛けられようとしていることをたちまち見抜いたのである』(P41)、人(世論)の心理を実に巧妙に利用するな、この詐欺師は。

「鄭婦人」、よく皇帝はこんな大規模な海賊の棟梁をいかに投降したとはいえ許す気になったなあ。死なずに済んだのは、中国皇帝の懐の広いのかなんなのか?

「ビル・ハリガン」、ビリー・ザ・キッド『十二のときはもう≪泥沼の天使≫に入って活躍していた。天上ならぬ下水道を根城に暴れまわっていた神々の一団である。』(P72)下水道を本拠としていたような奴らって本当にいたのか!小説とかの中だけだと思っていた。

「薔薇色の街角の男」
終わり、ドッペルゲンガーの仕業ってこと?よくわからん。(頓珍漢なこといっていたらすまんね)

解説、『本書の短編はすべて(「薔薇色の街角の男」を除く)先在する史実(または原話)の焼き直しである。(中略)『忠臣蔵』は日本人ならほとんど誰でも知っている話だから、本書「吉良上野介」のどこが書き換えられた箇所かはすぐに分かる。』(P165)ごめんなさいわからないです……。薩摩侍のあたり??