空海「三教指帰」 ビギナーズ 日本の思想

空海「三教指帰」―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

空海「三教指帰」―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
日本に真言密教をもたらした空海が、渡唐前の青年時代に著した名著。放蕩息子を改心させようと、儒者・道士・仏教者がそれぞれ説得するが、息子を納得させたのは仏教者だった。空海はここで人生の目的という視点から儒教道教・仏教の三つの教えを比較する。それぞれの特徴を明らかにしながら、自分の進むべき道をはっきりと打ち出していく青年空海の意気込みが全編に溢れ、空海にとって生きるとは何かが熱く説かれている。

 いくら現代語訳でもこういう昔の宗教の本を読むのはきついなあ。というか現代の目から見ると、特に他宗との比較で仏教を持ち上げているから感じるのだろうが、仏教礼賛の色が強すぎて、ちょっと胡散臭く思えてしまうなあ。空海の本を読むのでも、もうちょっと平易な解説本を読むべきだったか。タイトルのビギナーズというので思わず買ってしまったが、三教指帰の現代語訳という時点で現代の仏教に無知な人間がそうすんなり理解できるものではないとわかるべきだったのに、簡単だと思って買ったのは安易だったわ。あと古典の中国の人物の名前が出ているがそこに注がないから、どういう意図でその人物の名が出ているのかわからなかったり、無常の賦の詩は、詩が長々と続いても読むのに時間かけても全然記憶にもとどまらず(言葉を自分の中で像とする能力低いから)理解できないので字面だけ見る流し読みをしてしまった。
 とうか、最近こういう失敗は、なるべく図解〜とかそういうのを読むようにすることを心がけるようにしているので、もうすることはそうそうないだろうと思っていたので地味に結構ショックだわ。
 3つ比べているが、仏教の分量が他の2人よりをあわせたものより多いのはずるいわあ(笑)。まあ、当然のことだけどさ。でも、物語仕立てにしている分、仏教誇りが鼻につく感じ。
 最後の付されている空海の略伝によれば、「三教指帰」は迷いを乗り越えて所信表明として書かれたということでもあるから、そうした意味ではより仏教について力を入れて描写しているのもいたしかたないのかな。あと、「三教指帰」が日本最古の戯曲と呼ばれているということははじめて知った。ソレとこの本とは関係ないことだが、中国の留学は最初20年の予定が、2年そこそこで帰国って滞在期間の圧縮にもほどがあるぞ(笑)。