翔ぶが如く 1


新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)


出版社/著者からの内容紹介
新生日本の激動期を描く大長篇、文字を拡大した新装版!
明治六年、「征韓論」を主唱した西郷隆盛大久保利通の衝突は、ついに国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。長篇小説全十冊

 10巻もあるから、幕末もやるのかなと早合点していたが、維新後からスタートだった。そういえば、その早合点していた幕末の薩摩サイドの動きをメインに書いたものは読んだことなかった、そのことに気がついたら幕末薩摩についての話を読みたくなってきたな。
 渡欧中の沼間の川路への忠告『薩人は今後、日本中を舞台に骨肉会い争う騒ぎを演ずるにちがいない。君はその渦中に入らざるを得ぬ』(P53)はちょっと予言じみた感じで、いかにもフィクションっぽいのに気が削がれるな。当時から薩摩が反乱を起こしそうなのを当てるのはありえるだろうが、薩摩内での内紛(二分される)を予期しているのも既にわかるようなことかな?と思ったが、読み進めるうちに、このような忠告もありえなくもないということはわかるが、最初に一見して予言でフィクションっぽいと感じてしまうのは自身の知識の少なさかな(苦笑)。まあ、そういうのは海外舞台の歴史小説とかなら気にならない(知らないからw)のだが、日本舞台の歴史小説でそういう予言じみたことをやられるといかにもフィクションというのが前面に出てしまうので、物語はなるべく作り物ということを思い出させる(リアリティがでない)ので、読む気が萎えてしまう。まあ、今回は単に俺の早合点だけど(苦笑)。
 西郷兄弟、名前を間違えて登録されて、それでもいいやとそのままその名前になるって、色々すごいな(笑)。
 薩摩人にとっての喧嘩さわぎは西洋人のダンスのようなものだという譬えには、なんか呆気にとられる風習だな、と思いを強く感じたよ。
 桐野の入浴法、お湯をあちこちに散らして湯気を作るって、つまり蒸し風呂の方が好きということか、日本人としては結構珍しい人なんじゃない?
 維新後の西郷、尋ねてくる猟官主義者やいかがわしい男の意見を熱心にきいて、たとえば維新後の士族の貧窮を訴えるその口舌に感応して泣くなど、騙されやすい人間に。本当に維新前後で政治の仕方が変わっている、老練から幼児のような純情さに変わるというよくわからん変わりかたしているから西郷のキャラはわかりにくいよな。いくら西郷を輔弼する情報収集役の質が格段に悪くなったとはいえ、自分で情報を得ようと思えばいくらでも得られる立場であるしね。
 自分たちが作った、維新政府を正論さえ言えば通るものという、維新前の新政府の理想像を現在の政府と同一視して、余計な政治的寝技をするのは、自らが倒幕してまで作った新政府を否定するような行いと考えていたから、そういう行動しなかった。西郷は理想主義の革命家だったという説明には得心がある程度いったが、少なくとも意味不明ではなくなって取っ掛かりができたかなという感じの説明だ。このこと書かれていたのが1巻だったか2巻だったかはよく覚えていないなあ。もし、2巻だったらしれっと、2巻のところにもコピペするけど(笑)。