宵山万華鏡
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/06/26
- メディア: 文庫
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内容紹介
祇園祭前夜。妖しの世界と現実とが入り乱れる京の町で、次々に不思議な出来事が起こる。
登場人物たちが交錯し、全てが繋がっていく連作中篇集。森見流ファンタジーの新境地!
●祭りの雑踏で、幼い妹が姿を消した。妹は神隠しに遭ったのか、それとも…?「宵山姉妹」「宵山万華鏡」
●乙川は≪超金魚≫を育てた男。大学最後の夏、彼と宵山に出かけた俺は、宵山法度違反で屈強な男たちに囚われてしまう。襲いくる異形の者たち。彼らの崇める≪宵山様≫とは一体…?「宵山金魚」
●期間限定でサークル≪祇園祭司令部≫を結成したヘタレ学生たち。彼らは、学生生活最後の大舞台を祭の最中に演じようとしていた。「宵山劇場」
●宵山の日にだけ、叔父さんは姿を消した娘に会える…。「宵山回廊」
●目が覚めると、また同じ宵山の朝。男は、この恐ろしい繰り返しから抜け出すことができるのか…?「宵山迷宮」
タイトルを見て、宵山って何かと思ったら、祇園祭のことか(ググって見たら本祭(山鉾巡幸)の前日とのこと、というか祇園祭が一月もやっているってググって見てはじめて知ったわ)。
ファンタジー色の薄い、森見さんが書くいつもの大学生活のノリの「宵山劇場」が一番面白かった。というか個人的にはそうしたもの以外の森見さんの作品が一番好きで、他のはたまに面白いなと思えるのがあるという程度なので。6つの短編あるが、3つの出来事をそれぞれ2つずつ組になって、同じ出来事を描いている。
「宵山姉妹」
『でもおまわりさんに叱られたらどうしよう。寄り道した私らが悪いんやし』(P27)こうした見当違いの心配は、子どものころを思い出すよ。
「宵山金魚」
奥州斎川孫太郎虫、本当に実在する虫なのか、てっきり創作かと思っていたよ。というか「孫太郎虫」でググッたら画像検索結果も出てきて見たくもないのに見てしまった。
「宵山劇場」
この短編の登場人物の小長井、山田川が「夜は短し歩けよ乙女」に登場する偏屈王を作ったのか、また妙なところで他の作品との繋がりがあるなあ。小長井が劇団辞めた理由は至当だ、というか偏屈王の裏幕で一番苦労していたのか(笑)。