ゲームシナリオのためのミステリ辞典 知っておきたいトリック・セオリー・お約束110

内容紹介
魅力的な謎をつくるための道具箱
ミステリ要素を含むストーリーを創作するときに知っておきたいをキーワードを事典形式でまとめたネタ帳。
ミステリ小説で培われた定石や理論、リアリティを支える現実の知識などを分類して解説。謎をつくるためのヒントが満載。


第1章 ジャンル
ミステリ小説 / 本格ミステリ / スリラー、サスペンス / 倒叙ミステリ / 変格探偵小説と「奇妙な味」 /
サイコ・ミステリ / ハードボイルド / 社会派ミステリ / 警察小説と法廷ミステリ / クライムノベル /
冒険小説とスパイ小説 / 歴史ミステリ / シャーロック・ホームズ

第2章 シチュエーション
殺人事件 / 連続殺人 / クローズド・サークル / 正体不明の死体 / 窃盗事件 / 誘拐事件 /
脅迫事件 / 詐欺事件 / 失踪事件 / 物体消失 / 記憶喪失 / ミステリ研究会 / 日常の謎 /
模倣犯 / 凶器探し / 動機探し / 怪奇、オカルト / 強盗、襲撃 / 犯罪組織 / テロ事件 / 劇場型犯罪

第3章 トリック
密室殺人 / 足跡トリック / 乗り物によるアリバイ / 乗り物以外のアリバイ /
毒殺トリック(概要) / 毒殺トリック(手段) / 衆人環視下での殺人トリック / 死体の隠滅 /
双子トリック、一人二役 / 交換殺人 / 意外な凶器 / 意外な犯人 / 人間以外の犯人 /
手がかりの偽装 / 偽装の死 / 目の錯覚 / コンピュータを用いたトリック / 心理トリック /
叙述トリック / 特殊能力 / 特殊空間

第4章 キャラクター
名探偵 / ワトスン役 / 私立探偵 / 安楽椅子探偵 / 少年探偵 / 一般市民 / 刑事、警察官 /
検視官、鑑識官 / 検事、弁護士 / 学者 / プロファイラー / 被害者 / 目撃者 / 容疑者 /
共犯者 / 証人 / 殺人犯 / 怪盗 / 犯罪者 / スパイ、テロリスト / 超能力者、占い師

第5章 ガジェット
死体 / 犯行予告、犯行声明 / ダイイングメッセージ / 指紋 / 入館記録、入室記録 /
時刻表 / 電話 / 身分証明書 / 手記 / 手紙 / 遺書 / 服装 / 手術痕 / 歯の治療記録 /
凶器 / 毒物 / 化学薬品 / 解毒剤 / 手荷物 / 地図 / 暗号 / 日付 / 天気

第6章 セオリー
ノックスの十戒 / ヴァン・ダインの二十則 / フェア・プレイ / ペダントリー / 見立て殺人 /
第一発見者 / 事後の共犯者 / ミステリ講義 / 旅行先の殺人 / どんでん返し / 読者への挑戦

 副題の知っておきたいトリック云々というのに興味を惹かれて購入、なんとなく実際にミステリ作るときの雛形みたいなものだったり、トリックをネタバレありありで解説してくれるようなものとか期待していたんだが、まあ普通に犯罪やミステリの要素についての解説みたいなものだった。まあ、よく考えればミステリのネタバレって著作権的な意味で駄目なのかな?個人的には、実際にミステリで使われたトリックをそれなりに詳しく書かれた大部の本があれば、すごく読んでみたいと前から思っているので、これがもしかしたらそうじゃないかと少しタイトルなどから勝手に期待してしまっていたよ。
 倒叙ミステリ、犯人側から語るミステリ。実はそういう小説を読んだことないから、「倒叙」という言葉だけ知っていても、犯人側から〜というのは以前にも見たことあるが、すぐに忘れてしまう。
 犯罪小説自体あまり読んだことがないのだけれど、犯罪小説の、計画的強奪を描き、「冒険小説にも倒叙ミステリにも近い面白みがある」ケイパーというジャンルの小説をちょっと読んでみたくなったな。ケイパー・ノベルでは、「悪党パーカー」シリーズというのが最も有名ということなので、まずそれを読んでみようかな。
 経済詐欺の種類として「B勘屋」というのがあるが、それって一体どんな詐欺なのか、ちょっと字面ではわかんないな(ググって調べてみたら、「経費の水増しに必要な領収書を販売する、脱税請負業者のこと」か)。
 たとえば急な階段に子どものおもちゃが落ちているという状況をつくり、そのような事故が起こる状況を何回もつくることで事故が起こる確率を上げることを(いまいち簡潔に説明しづらいし、本に書いてあることも例示でわりと長く書いてあるので、全部書き写すことはためらわれるからこんな不完全な文章に)、プロパビリティの犯罪と乱歩は名づけたというのは、知らなかった。というか、そうしたことに類型として名づけられているのは知らなかった。藤子F不二夫の短編集で、題名忘れたが、ころり転がる木の根っこというフレーズが印象に残っている短編を読んで、それがこのプロパビリティの犯罪の作品だったな(確か)。
 「偽装の死」のページで、近年は生きているかの確認は手首の脈でなく、「首筋を触れる」と変わってきたということをはじめて知ったよ。
 「摂氏五度以下で湿潤な場所では屍脂化」、屍脂化なんとなく今まで単なる偶然だと思っていたが、運不運でなく、そうした条件があるのか。まあ考えてみれば当然だけど、なんでそんなイメージできた原因の一因は、たぶんカラマーゾフかな、ゾシマ長老の遺体が腐らないことを期待されていたが案外早く腐ったことが書かれていたようなおぼろげな記憶があるが、確か夏あたりに死んだ(記憶おぼろげ)から、腐るのも当然だったのか。
 江戸時代に既に拇印が本人確認の手段として利用されていたという史実を読むのは、この本初見かな、たぶん。
 見取り図、『最もミニマムな地図というべき部屋の見取り図ですが、これもまた正しく読み取り建物の構造を理解するには、ある種の才能や技術が必要です。』(P213)そう書かれているのには、僕にはそういう才能や技術を持っていないから、今まで、そういう図見てもさっぱり理解できなかったのでなんか安心したよ。