憑物語

憑物語

憑物語

内容説明
“頼むからひと思いに――人思いにやってくれ” 少しずつ、だが確実に「これまで目を瞑ってきたこと」を精算させられていく阿良々木暦。大学受験も差し迫った2月、ついに彼の身に起こった“見過ごすことのできない”変化とは……。<物語>は終わりへ向けて、憑かれたように走りはじめる――これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!


 暦、「起きたくないだけのことで、どれだけ言い訳するつもりだよ、兄ちゃん」って、それまでのは内省でなく実際に妹達に語りかけていたのかよ!起き抜けにそれだけ頭と口が動くんなら、もう完全に起きてるだろw。
 月火と脱衣所で口論し始めたあたりから、一緒に入ることは予想はついてたww。というか、二人の髪伸びすぎだろ。特に阿良々木暦がかなりの長髪になってなっている絵をいまいち想像できないのだが、今はアニメ版のあの感じでイメージがかなり固定されているから。
 臥煙伊豆湖、なんか万能NPCって感じで、リアリティを感じさせないキャラ造形だな。ここまで、見通していると、もはや推理・推測でなくオカルトで知識を得たというほうが納得がいくな(いや、案外それが真相なのかもしれないが)。
 『いやだから、いつ敵に回るかわからない人だからこそ、弱点を探るような不穏な行為をするなって言っているんだよ。味方のうちはいい人であることは間違いないんだから』(P105)そのスタンスは非常にいいね。なんか、「なろう」とかで、チートな主人公を、相手にそうした探るような不穏な真似をして、敵意を持たれるような展開になり、相手にとって事態の好転には決して役立たないっていうのを散々見ているし、そうやって疑うように見られて気持ちのいい人間はいないんだから、そのスタンスには勢いよくうなずき同意を示すことができるよ。
 布団の残り香をかいで、個人の識別ができる主人公、すっごく今更だけど変態ですね。匂いを覚えているのはさすがにちょっと引くw。
 『成功譚よりも成長譚のほうが私は好きですね。たとえ失敗しようと、それで人間的に成長できるのならば、ストーリーってそれでいい気がするんですよ。』『だけどさ、扇ちゃん。だからと言って、失敗や不幸を、犠牲や悲しさを、『いいもの』だと思えないし――思っちゃ駄目だろ』(P229-30)思っちゃ駄目だろ、という阿良々木の言葉に、心打たれるものがあるし、素直に同意できる。
 『ただ、話し合いってのも、実はあんまり、大人の解決法でもないな。殴り合いも話し合いも暴力の一形態でしかないって、最近は思うようになってきたよ。』(P234)たとえば、今回でいえば、相手は誘拐をしていて、人質というカードを持っているわけだから、その状態から話し合いとなれば相手に優位に進むことになるし、それ(誘拐犯の方が被害者に対して優位に立つのを許容するの)は道理に背くように感じられるからね。
 そういえば斧乃木は扇につっこまなかったてことは、扇は本当に忍野の姪ということで確定かな。いや忍野を扇が「叔父さん」と読んでいるのを、単に「おじさん」と思っているという可能性も無茶苦茶低いけどまだあるかな?まあ、それは流石にないだろうが。
 このシリーズもついにあと2巻だが、もう登場することないと思っていたから、忍野の再登場フラグが立って嬉しいな。