2

2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)


内容(「BOOK」データベースより)
数多一人は超有名劇団『パンドラ』の舞台に立つことを夢見る青年。ついに入団試験を乗り越え、劇団の一員となった彼だったが、その矢先に『パンドラ』は、ある人物の出現により解散してしまう。彼女は静かに言う。「映画に出ませんか?」と。役者として抜擢された数多は、彼女とたった二人で映画を創るための日々をスタートするが―。果たして彼女の思惑とは。そして彼女が撮ろうとする映画とは一体…?全ての謎を秘めたまま、クラッパーボードの音が鳴る。

 今までの野崎さんの本にでてきた主役級のキャラの多くがでてくるので、オールスターという感じで見ていて面白い、それに、野崎さんの本に出てくるキャラって面白い人が多いし、顔見せ程度で、おざなりにだしているわけでないので、以前の作品のキャラが出てくるシーンは大概面白いなあ。
 この本を読んでいて思ったのは、野崎さんの本に出てくる超常的キャラって、日本人のキャラばかりで、スケールでかい人間が集まったり、すごいことやらかそうとしているわりに海外と関わらない、そこら辺は戯言シリーズと似た感じだな、と今更ながら感じた。
 リーダーシップがあって、気を回すことができて、名前が阿部でなおかつ語り部には阿部さんと呼ばれているとなると、この人が出ている間はあのキャラが思い浮かび、「いい男」という言葉が頭から離れなかったw。
 『「上手いよ!全然目立ってない!居ないかと思った!」と最大級の賛辞をいただいた』(P55-56)というのは、褒めている人が口下手でなければ、反語的に酷くけなしているのか、イジメかと思うような言葉だw
 槍子、鼻血出しながら「かわいい!!!!!!!」といって迫るって、そりゃ御島さんも泣くわw
 最原最早、ほかのキャラを蹴散らしつつw、再登場!!最早さん、相変わらず自由ですね。その変わらぬ自由さに安心した。最早、この本の時点で30歳ということは、「[映]アムリタ」から作中時間が10年くらい経過しているのか。
 在原露、「小説家の作り方」ででていたキャラだとはわかったが、そのときも弄られていたよね(記憶違いじゃなければ、まあ、どういういじられ方かは忘れたが)w、というか、在原を誘き出すために、公衆の面前であの格好をしてずっと待っていたのはすごいよ数多w
 二見遭一、最原と結婚(籍は入れていないようだから、微妙に違うか)したのか、よかった!なんとなく、あの映画の後に、別離してしまったと思って、「[映]アムリタ」を読み終わった後なんとなく寂寥感を抱いてしまったほどだったので、すごく嬉しいよ。
 TMS(経頭蓋磁気刺激法)、うつ病の治療など、気分を変える医療方法、機器。魔法で精神を高揚させたり、心を強く持たせたり、そういうのがあるけど、それらが一番ありえない(つまり一番ファンタジーらしい)ものだと思っていたら、こうして科学で気分を変えることができるものが既にあるとは思わなかったので驚きだ。
 伊藤先生の授業、というか真相がわかった上で読むと、そういう繋がりがあったから彼を紹介したのか、ということに気がつく。
 数多と最早さんがそういう関係になったのは、NTRは苦手だから厭な気分になっていたが真相わかってすっきり。最早から見たらある意味NTRだが、あの人にそういう概念があるか、その実感をもてるかは別として。
 しかし、二見、真相を知ってものすごい才能だ、と思うより先に最早についていけるようにすごい努力をしたんだろうな、と思うほうが先に来るw。