不思議の国のアリス

不思議の国のアリス (角川文庫)

不思議の国のアリス (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいるとチョッキを着た白ウサギが時計を取り出しながら、急ぎ足に通り過ぎ、生き垣の下の穴にぴょんと飛び込みました。アリスも続いて飛び込むと、そこは…。チェシャーネコ、三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王など、一癖もふたくせもあるキャラクターたちが繰り広げる夢と幻想の国。ユーモア溢れる世界児童文学の傑作を、原文の言葉あそびの楽しさそのままに翻訳した、画期的新訳決定版。

 ものすごい有名だけど、一度も読んだことがなかったので読まなければと思っていたが、最近になってようやく読むことができた。挿絵がなんか不気味な感じでちょっと苦手だ、もっとファンシーなものかと想像していた。期待値が高すぎたせいもあるのか、いまいち面白さがわからない。個々のキャラクターは少ししか出ないキャラも個性的で印象に残る(あるいは名前だけでもなんとなく覚えがあるからそう感じるのかは定かではないが)。細部のところどころは強い印象を与えるが、全体となると共感できるようなキャラクターもいないし、ストーリーを重視する小説でも(無論)ないから、どうも好みとはいいがたいなあ。読みやすいし、嫌いというわけでは全くないのだけどね。何か、個々のエピソードに意味(寓意・含意)がありそうなのに、全然読み取れないもどかしさがいまいち楽しめないという気分に繋がっているのかも。
『とてもおいしかったので――本当のところ、サクランボのタルトと、カスタードと、パイナップルと、七面鳥の丸焼きと、キャラメルと、焼きたてのバターつきトーストの混じったような味がしたので――あっという間に飲みほしてしまいました。』(P19)そんな混沌とした味では酷くまずそうなのに、美味しくてあっという間に飲みほしたというのでは、アリスの味覚を大いに疑うわ。
 ネズミの尾話、徐々にフォントが小さくなっていくが、頭の中で読んでいると、意識せずともやっぱり徐々に声が小さくなるような感じに読んでしまうのは、なんと呼ばれる心理的効果なのかね。