天地明察
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/05/18
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内容(「BOOK」データベースより)
徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。
読んだのは単行本で、というか、読んでからもう8ヶ月近く経っていることに驚く。
ずっと前から読みたいと思っていたがようやく読むことができた。光圀の話も既に発売されているから、そっちもそのうち読もう。冲方さんの本を読むのはこれがはじめてかな(たぶん)。マルドゥックシリーズ(?)も読みたいとは前から思っているが、SFを読むの苦手だから二の足を踏んでいたから、まだ買ってすらいない。
冒頭で「帝の勅命は果たしてどれを採用するのか」云々とあるが、実際に朝廷がきめるの?形式としてそういう体にするとかでなく?よくわからんなあ。
春海が刀を鳥居にぶつけて「かーん」という音が鳴っていたが、江戸時代の鳥居って既に金属製なの?いや仮にここが金属でも、場所によるんだろうが。
「己の体重の三分の一にも等しい刀」とあるが、刀ってそんなに重いんだ!と驚いたが、二刀を合わせた重量かな?まあ、どちらにせよ思っていたよりずっと重いのには変わりはありませんが。
春海が安藤に7つの問題を瞬く間に解いた男の話を、興奮しながら話している感じは見ていて好ましい。
よくわからん干魚(ハゼといって売っていた)を土産にもっていって、ハゼじゃないんじゃと繰り返し突っ込まれているのには笑った。
この時代から武士は札差し相手の借金に苦しんでいるの?そうなら、ずいぶん長い間武士階級って金欠続きだったのね。
建部と伊藤、北極出地の予想で当たったら、喜び外れたら大げさに悔しがるという、こういう大人の子供っぽい振る舞いにはなんか癒される(笑)。
春海、自身の誤問について吐かされて、それを褒められているのに複雑な気分になり、2人に「早く寝てくれないか」と思うシーンがあるが軽く、心中でぼやいているさまが目に浮かぶようで笑える。
勝負碁ということに特別感がでるということは、才能がある碁打ち(道策とか)にとっては、その才を生かせなくてかわいそうだ。春海は他に天文と算術という趣味があるからいいけどw。
改暦、関にやらしたれよ、とも思うが、他藩の人間だから駄目なのかなあ。
山崎闇斎、水戸光圀、保科正之と教科書で出てくるような大物がどんどん出てくるなw。春海は政治的な人間としては描かれていないけど、実際は政治的にも自分がその事業をできるように尽力していたんだろうな。事業の中核の4人、闇斎も正之の侍儒だし、他にも会津の算術家が2人と、会津の事業という観が強いように感じる。
頒暦による利益、年に70万石というのはものすごいな!思ったよりもずっと大きな収入だ。
道策との碁ではなんか、やらかしてばっかやな、春海。
藤原さんのエッセイだったかで、関が暦の研究も、そして、暦理解も日本一だったが、改暦されたのちは、数学的発見が少ないとかなのは、改暦されてしまったが為に燃え尽きた?という説明がなされていたが、この小説では自分よりも算術が劣る、春海にわざわざ発破をかけてやり期待する(自身の研究成果をくれてやる)など、まさに算術の巨人という描きかただ
改暦をするために、それをすることへの利益を説く、というあざとい手を打てるんだから、春海は抜け目ないのかね、やっぱり。前半はまるで政治にタッチしない人間のように描かれているが最後の方になって、政治的に精力的に活動しているな。それほど改暦に執着しているということか。