子どもの王様

子どもの王様 (講談社ノベルス)

子どもの王様 (講談社ノベルス)

内容紹介
団地に住む、少年ショウタと親友トモヤ。トモヤは学校に行かずに、部屋に籠もって本ばかり読んでいる。
そんな彼がするのは、いつも奇妙なつくり話。団地に住む魔女の話や、子どもの国を支配する残酷な王様の話……。
だが、ある日ショウタは、トモヤが言ったとおりの格好の男を目撃する。まさか、子どもの王様は実在した!?

 殊能さんの小説久しぶりに読んだ、新書や文庫で新刊がでるのは最近ないから読む機会がいまいちなかった。この本はもう少ししたら買おうかなと思っていた(単行本が出て何年も立っているのに、文庫とか新書になっていなかったので)折に、ちょうど新書化してくれたので、早速購入した、単行本買う前でよかったよ(笑)。
 カイト、こういうガキ大将タイプ(まあ、子どもでなくとも、こうした無理に我を通すような横暴さを強く持つ人間は苦手だ、小説中でも)は、今でも内心がまるでわからないし、読めないので、正直得体の知れないという印象が先に来てしまう。
 バラエティ番組に、子どもに悪影響云々といって抗議する意味が今まで良くわからなかった(というか関心がなかった)のだが、この本を読んでなんとなく理解できたよ。
 3人でサッカーをしているシーンは、ルールも何もなく好き勝手に敵味方へころころ変動して楽しんでいる様子はみていて、子供時分でしか楽しめなそうな遊び方をしていて、微笑ましい。
 「子どもの王様」が誰だかは、トモヤにショウタが話した反応から容易に想像がつくからミステリーって感じが全然しないな。というか、あまりにも順当すぎて、実は思っているのと別人だったりしないよな、と心配になって、1章を改めて見返したほどだ。子どもなら、わからない……のかな?(そうとも思えないが)。