世界を変えた6つの飲み物

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

内容(「BOOK」データベースより)
ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コカ・コーラが語る熱情と覚醒の世界史。もし、これらの飲み物がなかったら、エジプトのピラミッドも、ギリシア哲学も、アメリカの独立も、フランスの市民革命、イギリスの産業革命・金融革命も形を変えていたかもしれない。ささやかな飲み物が、人類を駆り立て、歴史をつねに動かした、その大いなる秘密が明かされる。

 この中で扱われている飲み物の3つはアルコール、他の3つはカフェインを含んでいる。とプロローグで書いてあるのを見て、カフェインを含む飲料が重要ということは今まであまり感じたことがなかったので、ちょっと驚いた。
 しかし、世界を変えた云々といっても欧州の話ばっかだな、まあ飲料文化で世界にインパクトを与えたのは欧州経由だったり、欧州の伸張に伴ったエピソードが多いから仕方ないけれど。
『パンもビールも穀物の粥からできたというのが、最も妥当な考えではないだろうか。』(P25)とあり、ビールが飲むパン(だったよね?)といわれているが、できた当初から密接に関連していたものだったということははじめて知った。
 古代ギリシア人は『汚染水を飲むのが危険だということは承知していた。彼らは、わき水や深い井戸の水、あるいは水槽に溜めた雨水を好んだ。』(P67)ここの列に、雨水が加えられているのが意外、やっぱり現代では、空気が汚れて、酸性雨だのなんだのといった問題があったから、汚いというイメージがあるが、当時は空気が今よりも綺麗だから雨水は現在よりも綺麗だったのかな。まあ、現在では他に清潔な水道水があるから、余計飲料には適さないと感じるし、古代では河川の水も下流だと危険そうだし、そうすると雨水は相対的に安全な部類に入るということなのかな。
 この本を読んでいて、今更だが、イスラームが禁酒しなければならないという義務があるのは不思議に思える。だって、砂漠の方とか清潔な水とか少なそうで(というか、広範に広がっているのだから、飲料に適す水がじゅうぶんにない地域だってあるだろうに)、欧州のように酒を普段のんでいても不思議ではないのに、あえて飲酒を禁制にしたのか、よくわからない。まあ、この本にもあるように、『アルコール類の規制がそれほど厳格ではない地域もあった』(P97)ようで、他にもスペイン・ポルトガルでは、ムハンマドナツメヤシのワインを飲んでいたし、ワインを禁じたのではなく、飲みすぎを禁じたのだという声が上がって、ある程度自由が生まれたようだが。
 17世紀半ばのオランダ人医師コルネリウス・ポンテクーは茶を病人なら一日50杯は飲んだほうがよく、上限は200杯。とあるのをみて、頭おかしいくらい飲んでいるなあ、と思っていたら、その数ページ後に、チャールズ二世王妃のキャサリンが、イギリス王室に茶を飲む習慣をもたらし、『その後、小さなカップ――「指ぬきよりも大きくてはならない」という文章も残っている――で茶をすするという習慣は、貴族たちのあいだでたちまちのうちに大流行する』(P200)というのがあるので、その一杯というのは指ぬき以下のサイズの小さなカップってことでいいのかな?
『母親が茶を飲むだけで、母乳中に抗菌性フェノール成分が移行するために用事の死亡率が減少した。』(P213)茶にはそんな効果があったということは、この本ではじめて知った。お茶って案外すごいんだね、ちょっとびっくり。
『中国は当時、密輸量と同量のアヘンを非合法的に生産していた』(P222)そうだったのか、その史実ははじめて知ったぞ(笑)。
 コカ・コーラが赤い服のサンタを作ったというのは間違いで、『実は、赤い服のサンタというイメージは、それ以前からすでに確立されていたのである。一九二七年一一月二七日づけの『ニューヨーク・タイムズ』に次のよう記事が載っている。「ニューヨークの子供たちの頭の中には、標準的なサンタクロース増が出来ているようだ。(中略)身長、体重、ポーズまでほぼ変わらず、赤い服を着て、フードをかぶり、白いひげを蓄えた人物と言うイメージも同じだ』(P258)というのははじめて知ったがそうだったんだ実際は。
 第二次世界大戦コカ・コーラのエピソード、いちいち面白いな。
 解説を読んで、古代ギリシア・ローマで『高く評価されたのは、赤ではなく白ワインだった。』(P321)というのは、現代ではまずワインといったら、まず赤ワインのイメージが先に来るから、ちょっと意外だ。