春の嵐 剣客商売 10

春の嵐 (新潮文庫―剣客商売)

春の嵐 (新潮文庫―剣客商売)

内容紹介
わざわざ「名は秋山大治郎」と名乗って辻斬りを繰り返す頭巾の侍。窮地に陥った息子を救う小兵衛の冴え。シリーズ初の特別長編。

 この本は、通常短編である、このシリーズには珍しく、1巻まるまる使った長編。最初のうちは、何話分かが続きなのかと思っていたが、結局最後までだった(笑)。というか、読んでから大分感想を書くまでに間が空いてしまったので、ほとんど覚えてないや、だからいつも読んだら、記憶が希薄にならないように、なるべく早く書こうとは思っているのだけど。まあ、所詮思っているだけだからね(苦笑)。
 この本では、秋山大治郎の名を騙って、人斬りをするものがあらわれる。つまり、大治郎は、政争に巻き込まれてしまったわけだ。
 『芳次郎は、何やら考え込んでいて口もきかぬ。そのくせ、雑煮の餅は十二個も腹中へおさめてしまった。』って食いすぎだろ芳次郎(笑)
 そして大治郎を騙る人斬りが田沼の中屋敷を襲った、そのことを大治郎は飲み込めず「徒のいたずらともおもえぬ……」と思っているが、そもそも人を殺してイタズラも何もない気がするが。
 つけてきた曲者を捕縛して、肥溜めに漬けこむと脅かす小兵衛と、そのことを嬉々として実行しようとする芳次郎は素敵ねww。
 解説でおはるの魅力を「池波さんは読者にとって気の休まる女を描いてみたのにちがいない」とあるけど、そういうのが魅力なのか、と今まで普通の人という印象で小兵衛や大治郎、そして三冬のような強さなどの解りやすい魅力がないし、活躍シーンも当然ない(あるようなキャラなら、気の休まる家庭の象徴のような人物から逸脱してしまうし)から、小兵衛が娶った人にしてはずいぶん普通の人だと言う印象しかなかったので、この説明でようやくある程度納得できた。