翔ぶが如く 4

新装版 翔ぶが如く (4) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (4) (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。この乱に素早く対処した大久保は首謀者の江藤を梟首に処すという実に苛酷な措置で決着をつける。これは、政府に背をむけて、隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であったであろうか。


 西郷、医者の忠告があったというのがある(あるいは契機だった)にしても、趣味として猟が好きなのね。というか、この時代は武士が猟って奇妙な印象を与えるものだったのか、ここまで西郷のエピソードを見ているとなんか変人という印象が結構あるのだが。
 天下が自分をいずれ必要とするという確信を持ち、それまで待っていようという、粘着力の強い政略計算、それと天下が自分を必要としなかったらこのまま朽ちるのみ、という心理の両面があった、という説明にはなるほどと納得できる。
 江藤がまだ躊躇している間に既に大久保は佐賀を鎮圧するための措置を講じて、それを遂行するための独裁権を得ていた。政府が小さいから過敏に反応して、鹿児島が呼応する前に潰そうとしたのだろうけど、それは大久保によって江藤が謀殺されたという説も出るわ。あと
 この時代の久光の存在感は幕末以上、ということにはかなり驚いた。今まで、明治になったら時代の主役級から消えた人というイメージだったから。
 斉彬が西郷を可愛がったというエピソード、「若い西郷を座敷にまであげていた」「西郷程度の下級藩士をこのようにするのは、主君としてそうあってはならないほどのことであったが、斉彬はそれをやった」というのを見て、そう、こういうのは特別だから効くんだよね!と改めて思った。なろう系のチート小説とかで誰に対しても上の立場からわざわざ隔意なく接して信頼得ようとするキャラいるが、そういうのは普段が偉い奴が自分にだけやるから非常な効果があるんだよね、そうでなければ変人か理想主義者(しかも、そうした小説の主人公を見れば、頭に「軟弱な」のついた)のどっちかだよね、そうなったら相手から入ってくる反応は軽侮かあるいはより距離をとった反応になるかだよね。
 江藤、薩摩に逃亡してきて、西郷にあって挙兵を頼んだが、西郷は久光に助命を頼めと言った、ここでその西郷の忠告に従っていれば一応生の目もあったのか。
 私学校、半行政の組織にまで成長。単に今で言う学生ではないとは知っていたが、半行政の組織だったとまでは思っていなかったよ。
 あ、本筋とは全然関係ないけど、毛利の「両川」に「りょうせん」とルビが振っていたが、いままで「りょうかわ」と読んでいたが(吉川・小早川であるので)、正式にはそう読むの?いや、当時の読みがどっちだかわからないとかで、どっちで読んでも正しいのかもしれないが。
 国内問題と、リ・ゼンドルの口車に乗せられて、台湾へ兵を送るって、もうgdgdすぎる、征韓論のほうが、一応開国させるという一定の目的あったし、それにしても使者(西郷)が殺されたらのことだし、ずっと理があったな。それに、相手国が清と朝鮮では比べ物にならない上に、清は列強の利害が絡む地だというのに、台湾に無造作に兵を突っ込むって、愚策ってレベルじゃないな。また、西郷を使者にしてたら、西郷が野に下るということもなかったのに。